本研究では,サツマイモの難防除害虫であるイモゾウムシの不妊虫放飼効果の向上のため,(1)実験条件下では低頻度でしか生じない本種の配偶行動の発現条件の解明,(2)DNAマーカーが開発されていない本種の精液輸送のメカニズムと定量化(3)配偶行動における共生細菌の機能解明に取組んだ.その結果,(1)大気に比べ二酸化炭素濃度が高い条件でより配偶行動が高頻度で行われ,(2)微量元素ルビジウムを混入した人工飼料を用いて飼育したオス個体と交尾したメスの体内から,オス射精物に由来する微量元素の検出が可能であることが明らかになった.一方,(3)先行研究で報告された方法により,抗生物質を利用して本種の成虫体内の共生細菌除去を試みたが,完全な除去系統の作出にまでは至らなかった.今後は本申請では行わなかった高温条件での飼育による共生細菌除去系統の確立に取り組む.
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