モモシンクイガはリンゴ果実を加害する重要害虫であり、新しい防除法の開発が課題である。果実に本来備わる化学的防除メカニズムの解明を試み、食害果実で誘導される化合物として3-oxo-TA、クロロゲン酸、p-クマロイルキナ酸を同定した。これらの化合物は幼虫の死亡率が高いリンゴ品種‘ふじ’および‘春明21’でより多く誘導されることが明らかになった。一方、成虫の産卵抑制のために使用されるコート剤(炭酸カルシウム水和剤)の防除メカニズムも検討した。EAG及びGC-EADを用いたアッセイの結果、コート剤に展着剤として配合されるTxibが雌成虫の触覚に受容され、産卵行動を抑制している可能性を示した。
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