研究課題
シロイヌナズナ内のオーキシンの生合成に関わる主な酵素としてYUCCAが知られている。YUCCA酵素の働きを阻害する薬剤の発見は、新たなタイプの除草剤等の開発を行う上で大いに期待できるものである。しかしながら、現在のところ、わずか2種類の阻害物質(非天然物)しか報告されていない。そこで、本研究では、高活性で既知のものとは異なるタイプの阻害剤の取得に向けて、独自に保有する様々な抽出物ライブラリーや化合物ライブラリーより探索を試みた。70種類を超える沖縄産海洋生物由来の抽出物について、YUCCA酵素阻害試験(in vitro)を行ったところ、約20種類のサンプルに阻害作用が認められた。さらに、シロイヌナズナの初期生育試験(in vivo)を用いてスクリーニングを行った結果、紅藻ソゾや軟体動物アメフラシに強い阻害効果が確認できた。それらの抽出物に含まれる活性本体を解析した結果、既知のものとは異なる化学構造を有する天然物として、ハロゲンを含むlaurane型のセスキテルペン3種(cupalaurenol、isolaurinterolおよびlaurinterol)を取得することに成功した。中でもlaurinterolが最も強い活性を示し、in vivo試験においては既知の阻害物質よりも強い生育阻害効果を示すことが確認できた。Laurane型の含ハロゲンセスキテルペン類に植物の生育阻害作用の報告はなく、新たな知見を得ることができた。さらに、化合物ライブラリーからスクリーニングを行った結果、TRPチャネル阻害剤として知られている2-APB(2-aminoethyl diphenylborinate)が、既知の阻害物質よりも強い効果を示すことが判明した。また、沖縄土壌由来の各種糸状菌より作製した培養液の中に、上記の化合物よりもさらに有望な阻害効果を示す物質の存在を確認することができた。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
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10.1080/09168451.2017.1313694
The Plant Journal
巻: 87 ページ: 245-257
10.1111/tpj.13197