研究課題
本研究予算によって査読付き原著論文五報を報告することができました。これらの研究成果は、植物がアンモニウムを利用する代謝酵素についての理解を深める研究であり、植物がアンモニウム環境に適応する機構を理解する上で必要な知識となります。アンモニウムの代謝に関わる遺伝子としてNADH依存性グルタミン酸合成酵素に着目しました。NADH依存性グルタミン酸合成酵素を遺伝的に欠損するシロイヌナズナはアンモニウム環境で生育が貧弱となったことから、NADH依存性グルタミン酸合成酵素がアンモニウムの同化戦略で重要な役割を担うことがわかりました。次に根で高く発現するグルタミン合成酵素に着目しました。グルタミン合成酵素には複数遺伝子の存在が報告されています。本研究では、グルタミン合成酵素1;2とグルタミン合成酵素1;3に着目して、これらの酵素群を遺伝的に欠損するシロイヌナズナのアンモニウム栄養に対する応答性を評価しました。グルタミン合成酵素1;2の欠損はアンモニウム同化を大幅に減少させましたが、グルタミン合成酵素1;3の欠損の効果はグルタミン合成酵素1;2が欠損しない限りは顕在化しませんでした。つまりグルタミン合成酵素1;3のアンモニウム同化に対する貢献は限定的であることがわかりました。これらのシロイヌナズナの根におけるアンモニウム代謝酵素の働きによって、植物はアンモニウムを同化することが明らかとなり、アンモニウムという無機栄養がグルタミン・グルタミン酸へ変換される有機化合物へ変換される機構が明確になりました。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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http://www.agri.tohoku.ac.jp/cellbio/index-j.htm