研究課題/領域番号 |
26450074
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 雄二 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80374974)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光合成 / イネ / カルビンサイクル代謝 / Rubisco / トランスケトラーゼ |
研究実績の概要 |
高等植物における光合成機能と個体生育の改良を目指し、炭酸固定速度をco-limitしていると期待されるカルビンサイクル酵素Rubiscoおよびトランスケトラーゼを同時に増強したイネを作製することを目的とした。前年度では、トランスケトラーゼ増強イネ、トランスケトラーゼ抑制イネ、Rubisco・トランスケトラーゼ同時増強イネ、対照実験としてトランスケトラーゼ抑制イネおよび野生型イネの光合成特性の間に大きな差はみとめられなかった。今年度は、これらにおけるRubiscoおよびトランスケトラーゼの遺伝子発現およびタンパク質の量についての解析を行った。 その結果、Rubisco増強イネではRubisco大小サブユニットのmRNA量が野生型のそれぞれ1.3-1.4倍および1.6-2.0倍となっていた。トランスケトラーゼ増強イネではそのmRNA量が野生型の2.5-2.6倍となっていた。これらの同時増強イネでは、これらのmRNA量は同時に増加したものの、その割合は単独増強時よりもやや低かった。Rubisco増強イネにおけるRubisco量は野生型の1.4-1.5倍、トランスケトラーゼ増強イネでのトランスケトラーゼ量は1.8倍となっており、これらの同時増強イネでは同時に増加したものの、単独増強時と比べやや低かった。その原因は、Rubiscoおよびトランスケトラーゼの葉の一生を通じた発現特性が似通っているため、同時過剰発現により互いの遺伝子発現が干渉するためではないかと予測している。なお、トランスケトラーゼ抑制イネではトランスケトラーゼの量が野生型の80%にしかなっておらず、光合成に及ぼす影響の判断は難しかった。 以上、イネにおいてRubiscoとトランスケトラーゼの量を同時に増強しても光合成能力は改善されないという前年度の結果を、遺伝子発現とタンパク質の量から裏付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
論文化に必要なデータはすべて取り終えた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度内に論文化を行う。前年度に糖やデンプン量の解析を行う予定にしていたが、論文の本筋に大きな影響を及ぼすとは考えにくいため、中止の可能性がある。また、今後どのような方策でイネ葉の光合成特性を向上することができるのかについて考えていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集が順調に進んだため、予定していたよりも消耗品の量が少なく済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果の発表を積極的に行うための費用に充てるとともに、次の光合成改良策に向けた模索を行うための消耗品の購入に充てる。
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