近年,転換畑圃場における収量低下が問題になっている。そこで,圃場測定により粘土質転換畑に特有の窒素流出動態と窒素肥沃度低下との関係を明らかにする。 窒素の主要な暗渠流出形態は硝酸態で,個々の降雨で濃度が経時的に低下し,慣行暗渠圃場では流出量の2割が消失した。窒素・酸素安定同位体比からこれが脱窒に因ることが分かった。窒素は溶存有機態でも流出し,最高で硝酸態の7割を占めた。作土の水抽出窒素は有機態が卓越し,可給態窒素の最高3割であった。 本研究の結果から,これまで着目されなかった,流出時に脱窒で失われる硝酸態窒素と溶存有機態での流出が粘土質転換畑の窒素肥沃度に影響を与えうると結論づけた。
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