本研究では、ヒ素汚染の原因菌の1つGeobacter sp. OR-1におけるヒ素代謝遺伝子群の発現解析およびヒ素存在下で発現するタンパク質の網羅的解析をおこなった。ヒ酸呼吸条件において、異化的ヒ酸還元酵素遺伝子arrAと解毒的ヒ酸還元酵素遺伝子arsCの発現量は、フマル酸呼吸条件と比べそれぞれ52倍と260倍に上昇した。一方プロテオーム解析では、ヒ酸呼吸条件でArrABやArsAの他、抗酸化酵素、ストレス応答、分子シャペロンなどの発現上昇が確認された。OR-1 株は高濃度のヒ素に曝露されると、ヒ素代謝経路のみならず種々の代謝系を協調的に発現上昇させ、ヒ素耐性を獲得することが示唆された。
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