研究実績の概要 |
トランスポーター遺伝子の定量Reverse-Transcription PCRによる発現解析。B. multivorans ATCC17616株の野生株について、クエン酸(対照区)、安息香酸、3-クロロ安息香酸(3-CB)をそれぞれ基質として液体培養を行い、benK2, benK3, benK4各遺伝子群の発現を、LightCycler RNA Master SYBR GreenⅠキット(Roche)と、ライトサイクラー2.0 インスツルメント(Roche)を用いて、定量Reverse-Transcription PCR(定量RT-PCR)により詳細に解析した。その結果、前年度に報告した半定量RT-PCRによる解析結果で見られた傾向を確認するとともに、より詳細な解析結果が得られた。benK3は前培養及び各本培養の培地で発現していたため、構成的に発現しているという半定量RT-PCRの結果が確認された。一方、benK2は全ての培地で発現していたが、安息香酸、3-CBでより強い発現が見られることを明らかにした。さらにbenK4は、3-CBで特に強く発現することが明らかとなり、3-CB培養での対数増殖期中期における発現量はクエン酸、安息香酸それぞれの培養の同時期に比べて150倍及び3.5倍であった。以上の結果と、benK4遺伝子が3-CB分解遺伝子群の近傍に存在してクラスターを形成していることから、3-CBの取り込みには少なくともbenK4は関わっていることをほぼ確定した。既知の芳香族化合物トランスポーターに対するbenK2、benK3、benK4各遺伝子とのアミノ酸レベルでの相同性も考え併せると、芳香族化合物のトランスポーターがターゲットとする化合物の取り込みに寄与する程度に関しては、アミノ酸レベルでの相同性と強い相関関係があるわけではなく、その化合物が存在するときに発現されることが重要であることが示唆される。
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