ニコチンアミド補酵素はあらゆる生物で普遍的に用いられる酸化還元補酵素である。一方、ニコチンアミド補酵素は熱安定性に乏しく、高温で容易に分解を受ける。本研究では、好熱性細菌Thermus thermophilusを主たる対象に、高温環境下でのニコチンアミド補酵素の恒常性維持に重要な役割を果たすと考えられるサルベージ合成酵素群の特性解析を行った。この結果、ニコチンアミド補酵素のサルベージ合成能が同菌の高温での生育に極めて重要な役割を果たすことを明らかにした。またニコチンアミド補酵素サルベージ合成経路をin vitroで再構成し、これにより高温域でのニコチンアミド補酵素の見かけ上の安定化を達成した。
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