本研究では環境中に含まれる硫黄源の変化に対して大腸菌の炭素同化経路がどのように調節されているのかについて理解を深めることを目的とした。その結果、チオ硫酸を単一硫黄源とした場合と、培地中のグルコースが完全に消費された直後に硫化水素が生成されることを見出した。一方、大腸菌のグルコース枯渇時の硫化水素生成には、チオ硫酸イオンの同化経路反応が関与していることが判明した。さらに、Crpがこの硫化水素生成に必須であることを見出した。以上の結果からCrpが環境中の硫黄源を感知することによって硫黄同化経路と炭素同化経路を協調的に制御しており、代謝経路間の調節メカニズムのシグナル因子として機能すると考えられる。
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