研究課題/領域番号 |
26450092
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
秋 庸裕 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (80284165)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脂質 / 高度不飽和脂肪酸 / カロテノイド / 炭化水素 / ラビリンチュラ |
研究実績の概要 |
海洋性真核微生物ラビリンチュラ類オーランチオキトリウム属において、抗酸化性カロテノイドであるアスタキサンチンやカンタキサンチンなどの生産特性とゲノム及びトランスクリプトーム解析の結果から推察された栄養飢餓ストレスに対する応答についての分子機構の解明を目的としている。すなわち、ゲラニルゲラニルピロリン酸を生成するCrtE、β-カロテンを生成するCrtIBY、カロテンケトラーゼCrtO及びカロテンヒドロキシラーゼCrtZの各遺伝子はいずれも飢餓条件下で発現誘導されることから、その分子機構が解明できれば栄養飢餓とカロテノイドの生理機能の新たな関係を理解する手かがりとなる。オーランチオキトリウム属株の培養経過における各酵素遺伝子の発現状況をリアルタイムPCRで解析したところ、栄養飢餓となる培養後期に高発現しており、トランスクリプトーム解析の結果が再確認された。このような応答における遺伝子発現調節の機構をより詳細に調べるため、同酵素遺伝子の発現制御領域を精査するレポーターシステムを構築して、飢餓応答エレメントの同定を試みることにした。システム構築に向けて、まず、オーランチオキトリウム属株にルシフェラーゼ遺伝子を導入して発現させ、細胞溶解液を発光測定に供したところ、低バックグラウンドでの顕著な活性が観察された。本系に用いた構成発現プロモーターを、上記カロテノイド生合成酵素遺伝子のプロモーター及び発現調節領域で置き換えたプラスミドを構築してオーランチオキトリウム属株へ導入し、解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カロテノイド合成酵素遺伝子群の発現制御エレメントは未だ解析中であり、早急に完了させる必要がある。しかし当初、次年度に計画していたカロテノイド合成系酵素群の共発現解析については、すでに昨年度に終えている。以上の状況から、全体的にはおおむね順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
カロテノイド合成酵素遺伝子群の発現制御エレメント及びシグナル伝達系因子を同定し、その変異等による人為的制御の効果をゲノムワイドな遺伝子発現解析やタンパク質、代謝物の網羅的解析を通じて把握するとともに、ストレス応答における同エレメント及び因子の役割と動態を理解する。
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次年度使用額が生じた理由 |
カロテノイド合成酵素遺伝子群の発現制御エレメント解析など、当初計画通りに執行できなかった実験があるため、使用額が次年度に繰り越された。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に残された実験は早急に行い、そのために必要な予算を執行していく。
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