研究課題/領域番号 |
26450097
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
高田 悟郎 香川大学, 希少糖研究センター, 准教授 (50322722)
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研究分担者 |
森本 兼司 香川大学, 希少糖研究センター, 准教授 (90363184)
上地 敬子 香川大学, 希少糖研究センター, 研究員 (70733426)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 希少糖 / 希少二糖 / D-アロース / D-グルコシド3-デヒドロゲナーゼ |
研究実績の概要 |
本課題は、D-アロース、D-アルトロースおよびこれらの希少糖を含む二糖を、新規微生物 の代謝機能と酵素を用いた新たな生産経路の確立のための基盤研究である。 研究は、(1)D-グルコシド3-デヒドロゲナーゼの遺伝子組換えおよびX線結晶構造解析、(2)新規微生物(Rhizobium 属)の希少糖の代謝機能の解析と代謝制御変異の導入、(3)未利用資源からアロシルアロース・D-アロース、アルトシルアルトロース・D-アルトロースの生産技術の確立および(4) D-アロースとD-アルトロースを含むヘテロ二糖の生産技術の確立と、4段階で実施している。 平成26年度は主に(1)について取組を開始した。すなわちまず、、本酵素の精製と諸性質の検討を行った。本酵素は既報の酵素と比較して基質特異性が異なっており、希少糖生産への応用範囲が広いことが示唆された。次に、遺伝子のクローニングを行った。発現ベクターにpQE60を用い、低温で誘導した条件で組換え酵素が得られたが、生産量が少なくさらなる検討を続けている段階である。組換え酵素を現時点で利用するのは難しいため、構造解析のために野生株の酵素を大量に精製し、結晶化を行った。大きな結晶は現在得られておらず、引き続き検討を行っている。その他、(3)の課題についても研究を進めた。まず、セロビオースに本酵素を作用させたところ、最終生産物としてアロシルグルコースが得られ、本酵素のみでは、アロシルアロースを得ることはできなかった。また、マンノビオースには反応性が低いため生産戦略の見直し必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているとの評価は次の理由による。1、組換え酵素の生産が比較的難しいと予想されること、2、本酵素が結晶化しにくく、良好な構造解析データを得るのが比較的難しいと予想されること、3、本酵素は、β-1,4、β-1,6結合に非還元側の糖に作用しないこと、マンノビオースに対する反応性が低いことである。一方、本酵素がβ-グルコース1-リン酸に作用し、最終産物としてβ-アロース1-リン酸を大量に生産できることがわかった。また、これとマルトースホスホリラーゼ用いて、α-1,4結合のアロシルグルコースからアロシルアロースを作ることができたた。本酵素とホスホリラーゼを組み合わせることで、β-1,4結合のアロシルアロースも生産できると考えられるので、最終的な目標に変更はない。
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今後の研究の推進方策 |
まず、組換え酵素生産とX線結晶構造解析を最優先に取り組んでいく。その上で、希少二糖生産の基盤的研究を進める。また、研究の過程で複数の新規の発見があったため、その発見を用いた希少オリゴ糖生産という発展的研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
高額機器の購入を予定していたが、価格と性能の面で折り合いがつかなかったため、また、代替に機器が共同利用施設にあり研究の実施に影響がないことから購入を延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
研究の実施に当たって、必需の機器でもあり、引き続き購入を検討する。
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