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2015 年度 実施状況報告書

Paenibacillus属細菌による真菌類捕食機構の解明と産業への応用

研究課題

研究課題/領域番号 26450099
研究機関福井県立大学

研究代表者

木元 久  福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (70283166)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードPaenibacillus / グルカン / グルカナーゼ
研究実績の概要

福井県内の土壌から分離されたPaenibacillus属の新種細菌であるFPU-37株は、カビなどの真菌類に対して強い抗菌活性を有している。真菌類の細胞壁は、不溶性の高分子多糖であるキチンやβ-1,3-グルカンを主成分として構成されていることから、両糖に対するFPU-37株の分解活性を調べたところ、キチン分解活性は検出されなかったが、高いβ-1,3-グルカン分解活性を確認した。
不溶性カードランを用いてFPU-37株が培養液中に分泌したβ-1,3-グルカナーゼのアフィニティー精製を行い、そのN末端アミノ酸配列からβ-1,3-グルカナーゼ遺伝子を同定した。本遺伝子は、3,003塩基対からなるORFで、1,001アミノ酸残基、推定のシグナルペプチドが51アミノ酸残基から構成されており、シグナルペプチドが切断された分泌型成熟酵素の分子量は103 kDaと算出され、アフィニティー精製した酵素のSDS-PAGE結果と一致した。さらに、InterProScanによるモチーフ・ドメイン検索を行った結果、本酵素は糖質分解酵素ファミリー81に分類される典型的なグルカナーゼであった。大腸菌による大量発現では、コールドショック発現系により封入体を回避して活性型酵素として発現させることに成功した。本酵素活性の至適条件は、pH8.0および40℃であった。また、β-1,3-グルカンのオリゴ糖は、高等植物の基礎的抵抗性を誘導することが知られていることから、β-1,3-グルカンを主成分とする酵母細胞壁を本酵素により部分分解して植物体に与えたところ、病害防御応答関連遺伝子として知られている植物由来グルカナーゼの大きな発現上昇が確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでのところ、当初の研究計画に沿って順調に研究計画を達成できている。

今後の研究の推進方策

抗生物質の精製方法の確立は困難であったが、ようやく前処理からカラムクロマトグラフィーに至るまでの精製条件を決定することができた。今後は、目的の抗生物質を大量精製し、その詳細について明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

抗生物質の抽出条件の検討において予想以上に時間と労力がかかってしまったため。

次年度使用額の使用計画

計画通り、抗生物質の大量精製および構造解析に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Determination of Chitin Based on the Colorimetric Assay of Glucosamine in Acidic Hydrolysate.2016

    • 著者名/発表者名
      H. Katano, M. Takakuwa, H. Hayakawa, and Hisashi Kimoto
    • 雑誌名

      Anal. Sci.

      巻: 32 ページ: 1-4

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Paenibacillus sp. FPU-37株由来β-1,3-グルカナーゼ遺伝子のクローニングと大量発現系の構築2015

    • 著者名/発表者名
      西岡健太、藤井 豊、石田瑠美、吉見僚太、早川 祝、木元 久
    • 学会等名
      第8回北陸合同バイオシンポジウム
    • 発表場所
      山中温泉「山中座」(石川県加賀市)
    • 年月日
      2015-10-30 – 2015-10-31
  • [学会発表] Paenibacillus属細菌FPU-37株が産生する澱粉誘導タンパク質の機能解析2015

    • 著者名/発表者名
      吉見僚太、木元 久
    • 学会等名
      第8回北陸合同バイオシンポジウム
    • 発表場所
      山中温泉「山中座」(石川県加賀市)
    • 年月日
      2015-10-30 – 2015-10-31
  • [学会発表] 溶液 NMR 法と X 線結晶解析によるキトサン結合モジュールとキトサンの相互作用解析2015

    • 著者名/発表者名
      新家粧子、西村重徳、北奥喜仁、木元 久、草桶秀雄、沼田倫征、大沼貴之、深溝 慶
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会 平成 27 年度大会(第 64 回)・応用糖質科学シンポジウム
    • 発表場所
      奈良春日野国際フォーラム(奈良県・奈良市)
    • 年月日
      2015-09-18 – 2015-09-18
  • [学会発表] Paenibacillus sp. FPU-37 株由来アミラーゼ遺伝子のクローニングと解析2015

    • 著者名/発表者名
      木元久, 平修, 植松宏平, 片野肇
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会 平成 27 年度大会(第 64 回)・応用糖質科学シンポジウム
    • 発表場所
      奈良春日野国際フォーラム(奈良県・奈良市)
    • 年月日
      2015-09-16 – 2015-09-18

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公開日: 2017-01-06  

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