研究課題
ハイグロマイシン耐性遺伝子マーカーを持つインテグレーションベクターpT8H5-Pslpを用いて昨年度作製したDeinococcus geothermalis pprA遺伝子発現Thermus thermophilus(PslppprA株)と、コントロールとしてベクターのみを持つT. thermophilus(Pslp株)を用いて、各種DNA損傷剤に対する耐性を評価した。その結果、45℃および50℃の培養温度条件下において、T. thermophilusでのpprA遺伝子発現による過酸化水素に対する耐性の増加が認められた。このことから、PprAタンパク質はT. thermophilusにおいて酸化損傷の修復に影響を与えることが示唆された。また、45℃において、エチルメタンスルホン酸に対する耐性の増加が認められたことから、PprAタンパク質はT. thermophilusにおいてアルキル化DNAの修復にも影響を与えることが示唆された。一方、ノボビオシンに対しては、45℃および50℃で、Pslp株よりもPslppprA株が有意に感受性を示した。このことから、PprAタンパク質の発現はDNA gyrase Bサブユニットの機能に悪影響を与える可能性が示唆された。45℃あるいは50℃で培養したPslppprA株におけるPprAタンパク質の発現状態をウエスタンブロット解析によって調べた結果、45℃培養では50℃培養と比べて約4倍量のPprAタンパク質が菌体内に存在していた。培養温度によるPprAタンパク質発現量の違いは、PprAの熱安定性の違いによるものであると考えられた。研究期間全体を通じて実施した研究によって、放射線抵抗性細菌に特異的なDNA修復促進タンパク質を高度好熱菌で発現させ、DNA修復機能を向上させることが可能であることを明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Frontiers in Microbiology
巻: 7 ページ: article 2124
10.3389/fmicb.2016.02124
QST Takasaki Annual Report 2015
巻: - ページ: 137
http://www2.toyo.ac.jp/~narumi/