研究課題/領域番号 |
26450106
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
岡 拓二 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (50510690)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 糸状菌 / 糖鎖 / ガラクトフラノース / 細胞壁 / 抗真菌剤 |
研究実績の概要 |
今年度はガラクトフラノース転移酵素の機能の解析を進めるために組換えタンパク質の取得を試みた。まず、メタノール資化性酵母 Pichia pastoris を宿主としてGfsA-GfsH について組換えタンパク質の発現を試みたが、発現させることができなかった。そこで、大腸菌ベクターpET32aを用いて組換えタンパク質の発現を試みた。pET32a のT7 プロモーター下流にgfsA遺伝子を挿入し、pET32a-gfsAを構築した。pET32a-gfsAを大腸菌宿主 Rosetta-gami に導入し、低温条件 (18度) で培養および発現誘導することで可溶性 GfsA を得ることができた。次に、得られた組換えGfsAおよびパラニトロフェノールに β-Galf を結合させた基質である pNP-β-Galf を受容基質として用いた酵素アッセイ系を立ち上げ、機能解析を試みた。組換えGfsA、受容基質としてpNP-β-Galf 、糖供与体としてUDP-Galf を反応系に添加し、30度で保温後、HPLCにより反応産物を分離、検出した。その結果、pNP-β-Galf とは異なる新たなピークが2つ検出された。そこで、この2つの物質をLC-MSにより解析したところ、それぞれ pNP-β-Galf-Galf および pNP-β-Galf-Galf -Galf であることが明らかになった。また、GfsA は、pNP-β-Galp や pNP-α-Man には Galf 転移活性を全く示さないことも明らかにした。これらのことから、GfsA は O-グリカン末端の Galf 残基に β-Galf を 2 つまで転移する糖転移酵素であることが明らかになった。また、GfsB およびGfsC に関しても組換えタンパク質を作製し、酵素活性を調べたところ、GfsA と同じ酵素活性を有することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画では、今年度にガラクトフラノース転移酵素の組換え体を取得し、来年度に基質特異性の決定を試みる予定であったが、組換え酵素の取得に成功するだけでなく基質特異性についても新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
生合成された pNP-β-Galf-Galf を精製し、NMRによって化学的な構造決定を行うことにより結合部位と結合様式の決定を試みる。また、今年度の実績により、構造の明確な受容基質を用いたアッセイ系が構築できるようになり、大腸菌を用いた組換えGfsを調製することが可能となった。これらのことより、今後、部位特異的変異導入法を用いることで、酵素の構造改変や詳細な機能解析が行えるようになった。そこで、酵素活性に必要なアミノ酸残基を変異体を用いて解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Mono Spin PBAという糖鎖を精製するための担体を注文する際にキャンペーンが行われており、予定より安く購入することができたため1601円の次年度使用金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度は、遺伝子を破壊するためのオリゴDNAなどが必要であるため次年度使用金は物品費として使用させて頂く予定である。
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