研究実績の概要 |
病原性糸状菌Aspergillus fumigatus 由来のGfsAに関する機能解析を進め、本酵素がβ1,5-ガラクトフラノース (Galf) 転移酵素であることを示す、確固たる証拠を得た。パラニトロフェノールにβ-ガラクトフラノースを結合させた基質であるpNP-β-Galfと大腸菌を用いて発現および精製した組換えGfsAをUDP-Galfとともに反応させることで新規に合成された化合物Aを約1 mg精製し、LC-MS、1H-NMRおよびメチル化分析に供した。その結果、化合物Aの分子量はGalf-Galf-β-pNPの分子量と完全に一致した。また、化合物Aに対する1H-NMRによってGalf-β1,5-Galf- 結合に固有のケミカルシフト(5.226 ppm)を検出することが出来た。さらに、化合物Aをメチル化分析に供したところ、Galf-β1,5-Galf- 結合をもっていることが明らかになった。以上の結果より、GfsAは、UDP-Galf β-Galf: β1,5-galactofuranosyltransferaseであることが明らかになった。一方で、gfsA破壊株より抽出した真菌型ガラクトマンナンの構造を1H-NMR、13C-NMRおよびメチル化分析によって解析したところ、gfsA破壊株では、真菌型ガラクトマンナン中のGalf-β1,5-Galf結合が減少していることが示された。これは、GfsAが真菌型ガラクトマンナン中のGalf-β1,5-Galf結合の生合成を担っていることを示す初めての証拠となった。さらに、酵素的な諸性質の解析についても進め、本酵素の最適反応条件を決定した。GfsAの立体構造解析については、結晶が得られ、結晶解析を試み、いくつかの座標が求められたが構造の解明には至らなかった。
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