研究実績の概要 |
今年度は,AfGfsAの酵素反応系にUDP-Galfを入れる代わりにUDP-GalpとGlfを添加する方法を考案した。この連続反応系を用いて、AfGfsAおよびAfGfsCのGalf転移酵素活性を検出したところ、両酵素共に単独の酵素でGalfを最大で5個まで転移する活性を有することが明らかになった。これは、報告されているガラクトフラン側鎖の構造と一致した。 また,AfgfsC破壊株、AfgfsAC破壊株に焦点を当ててFTGMの解析を1H-NMR解析およびメチル化分析によって実施した。その結果、AfgfsC破壊株ではβ1,5-Galf 残基が著しく減少し、AfgfsAC破壊株では、β1,5-Galf 残基が全く検出されないことが明らかになった。以上の結果から、Aspergillus fumigatusの全てのβ1,5-Galf 糖鎖はAfGfsAとAfGfsCが協調的に働くことで生合成されることを明らかにすることができた。 さらに、AfGfsAの立体構造を明らかにすることが出来た。AfGfsAは二量体を形成していた。AfGfsA配列中の重要であると考えられるアミノ酸部位に部位得的変異導入法を用いて変異を導入した。Gfsファミリータンパク質配列中で保存されているアミノ酸20箇所、および2つのN-グリカン付加部位の計22箇所のアミノ酸を選抜し、全てアラニン置換体を作製した。自律複製型ベクターであるpPTR-IIに連結した変異AfGfsA-3xFLAGを、AngfsA破壊株において発現させ、その機能相補性を観察した。その結果、AfGfsAのDXDモチーフからC末端方向への約100アミノ酸の領域に集中しており、この領域にGfsAの活性中心が含まれていることが示唆された。
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