研究課題/領域番号 |
26450112
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
坪内 泰志 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, 技術副主任 (30442990)
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研究分担者 |
秦田 勇二 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, グループリーダー (20399562)
浦井 誠 国立感染症研究所, 真菌部, 研究員 (20398853)
金子 幸弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90469958)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 抗MRSA物質 / 海洋性放線菌 / 抽出精製 / 生産菌ゲノム解析 / 構造解析 |
研究実績の概要 |
平成26年度はStreptomyces sp. Spo05株が生産する抗MRSA物質の抽出精製と、同株のゲノム解析を主として行った。抗MRSA物質の抽出は、同生理活性物質生産性の低さを考慮して中規模培養スケール(30リットル)から精製を開始した。クロロホルムと酢酸エチルを主成分とする液液分配、3種の逆相クロマトグラフを使用して、精製度約90%のサンプルを得た。同生理活性物質を500 MHzの核磁気共鳴に供し、1H、および13Cスペクトルを得たところ、構造の一部として芳香環の存在が見出された。次年度は二次元NMRを行うことで、官能基の位置情報を得ることで、最終的な構造推定を行う。 Streptomyces sp. Spo05株が生産する抗MRSA物質の合成代謝経路関連遺伝子のDNA配列を取得するため、次世代シーケンサーIon torrent(Life社)を使用して、0.5 Gbスケールのドラフトゲノムシーケンスを実施した。1,602,006リードをアセンブルした結果、213個のコンティグが得られた。推定されるゲノムサイズは7.43 Mb、GC含量は71.6%から構成されており、6,933 CDSを見出した。同データからは複数種の既知抗生物質合成代謝経路関連遺伝子が見出されたが、その中には抗MRSA活性を有する抗生物質は含まれていなかった。このゲノムデータは、次年度に行う計画であるRNA-seqから得られる発現遺伝子データのマッピングリファレンスとし、その遺伝子発現の増強・減衰変化から、同生理活性物質代謝関連酵素遺伝子群の推定を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の理由により、上記判断とした。 1)物取りとしての生理活性物質の抽出・精製が順調に進んでおり、部分的ではあるが構造解析データが得られつつある。 2)同生理活性物質の抗菌スペクトル解析が終了している。 3)同生理活性物質生産菌のゲノム解析がドラフトレベルではあるが、データが得られている。
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今後の研究の推進方策 |
抗MRSA物質の精製および構造解析が最優先項目となる。 現時点では精製度が90%程度であるため、NMRを用いた構造解析においてノイズが見出されてしまう。最終精製段階における溶出溶媒の混合比率を変更し、細分画するために条件設定を再考する。道物質の最終的な構造を決定するためには、官能基の位置情報を多角的に分析する必要がある。そのためには、精製度の高いサンプルを用いて、HH-, CH-COSYやHMQC、HMBCなどの二次元NMR分析を行い、近位、遠位双方で共鳴スペクトルに齟齬を来さないよう、詳細に分析する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
生理活性物質を精製するために購入する予定であったHPLCカラム2本分(ガードカラムセット)が想定より長持ちし、既存のもので対応可能であったため、当初予定していたカラムは購入せず未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
生理活性物質を大量精製するにあたり、次年度第2四半期を目処にHPLCカラムを購入する。
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