我々は海洋堆積物から新奇性の高い放線菌を分離し、同菌株が生産する物質が多剤耐性菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に抗菌活性を示すことを発見した。本物質を精製し、核磁気共鳴法、赤外分光法、精密質量分析などの分析法により物質同定を行った結果、同物質はアセチルエステル基、メトキシ基およびメチル基を含むポリオール構造を有するマクロライド系化合物構造であることが見出された。またその抗菌スペクトル解析からMRSAのみならずバンコマイシン耐性腸球菌に対しても強力な抗菌活性を示すことから、世界規模で蔓延傾向にある多剤耐性菌に対する抗菌薬としての開発が期待される。
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