研究実績の概要 |
本研究は様々な化合物と結合し、これをストレスシグナルとして下流の生体防御系を活性化する毒性化合物センサーの三次元構造解析を通して、その新規分子認識機構を明らかにすることを目指すものである。毒性化合物と結合することで構造を変化させる分子スイッチの構造を解明する本研究は、将来、酸化ストレスから体を守る新しいタイプの薬剤開発への応用が期待される。 本年度は結晶構造解析を実施するためにKeap1のセンサー領域を大腸菌で大量発現・精製を行った。さらに機能解析の観点から様々な毒性化合物との相互作用について検討を実施した。 Keap1のセンサー領域について大腸菌での大量発現を試みた。複数のアミノ末端およびカルボキシル末端切断変異体を調製した。これらの変異体を大腸菌で発現し、その発現量を検討することで、構造解析に適した末端切断変異体のスクリーニングを行った。蛋白質精製のためのイオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーの条件検討も行った。さらに、得られた情報を基に別の動物種についてKeap1の大腸菌発現系を作成した。 また、Keap1を介して細胞の生体防御系を活性化すると考えられている化合物との相互作用について検討をした。L-スルホラファン、D3T (Z 3H-1,2-ジチオール-3-チオン )、ケルセチン、イソリキリチゲニン、N-エチルマレイミド、N,N-ジメチルホルムアミド、イソチオシアン酸フェネチル、カーノソール、マロン酸ジエチル、tert-ブチルヒドロキノン、エブセレン、オルチプラズについてKeap1との反応性について検討を行った。
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