研究課題/領域番号 |
26450120
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田口 悟朗 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (70252070)
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研究分担者 |
新井 亮一 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (50344023)
鈴木 秀幸 公益財団法人かずさDNA研究所, バイオ研究開発部, グループ長 (80276162)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | C-配糖化酵素 / フラボノイド-C-配糖体 / 生物変換 / 酵素反応解析 |
研究実績の概要 |
C-配糖体は、フラボンやカルコンなどの化合物に対し、糖が炭素-炭素結合した化合物群である。その結合のため、グリコシダーゼや酸による加水分解を受けないという特徴を持ち、種々の生理活性を示すことが報告されている有用化合物である。その生合成に関わるC-配糖化酵素の理解は、これら化合物の有効利用の観点からも重要であるが、植物の他の配糖化酵素と比べ、ほとんど研究が進んでいない。 本研究では、これまでに解析を行ってきたソバおよびマメ科植物に加え、フラボノイドおよびカルコンC-配糖体の蓄積が報告されている種々の植物のESTなどの公開データベースを検索してソバのFeCGTと相同性を示す候補遺伝子を選定し、その全長配列をRT-PCRにより獲得した。大腸菌で異種宿主発現させた組換え酵素のC-配糖化活性を検討し、新たに数種のC-配糖化酵素遺伝子を同定した。また、得られたC-配糖化酵素について、その反応性の解析を行った。さらに、C-配糖体を多量に蓄積する有用な公開データベースのない植物について、次世代シークエンサーによるRNA-Seq解析を進めて、C-配糖化酵素遺伝子の探索を行っており、現在、そのデータ解析中である。 次に、これまでにソバおよびマメ科植物から獲得した6種の酵素タンパク質について、結晶化解析を目的とした大量発現と精製条件の検討を行った。その結果、大量発現が可能であった酵素について、結晶化の条件検討を行った。 さらに、C-配糖化酵素を発現させた大腸菌を用いて、基質の投与によるC-配糖体への生物変換を検討した結果、投与した基質の80―95%をC-配糖体に変換することが可能な変換系の確立に成功した。 以上のように、本研究では、C-配糖化酵素の反応機構の解析を通じたC-配糖体の有効利用へ向け、着実に成果を挙げている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、目的に掲げたとおりにC-配糖化酵素の結晶化条件の検討を行い、結晶構造解析に向けた準備が整ってきている。また、種々のC-配糖体を蓄積する植物からC-配糖化酵素の候補遺伝子を単離し、その異種宿主発現酵素の解析を行ったほか、新規酵素遺伝子の探索を目的とした次世代シークエンサーによるRNASeq解析も、予定通り進行している。また、大腸菌などの異種宿主発現系を用いたC-配糖体への生物変換系の確立にも成功した。以上より、全般に、おおむね予定通りかそれより早いペースで研究が進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね、当初の計画通りに研究を推進する。 これまでに検討した結晶化条件の最適化を行い、C-配糖化酵素の結晶化を行うとともに、そのX線構造解析を試みる。また、RNAseq解析の結果をもとにして新規反応性を示す酵素の探索を行うとともに、それぞれの酵素反応性の解析を進める。さらに、di-C-配糖体を生成する酵素の反応性の解析と、グルコース以外の糖を転移する活性を持つ酵素の探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成27年度に消耗品費と合わせて使用する。
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