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2015 年度 実施状況報告書

可溶型(プロ)レニン受容体産生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26450121
研究機関岐阜大学

研究代表者

中川 寅  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (10281049)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード(プロ)レニン受容体 / プロセシング酵素 / プロテアーゼ / V-ATPase / ATP6AP2 / バイオマーカー
研究実績の概要

本研究は,臓器障害の新規バイオマーカーとして近年注目されている可溶型(プロ)レニン受容体(可溶型PRR)について,その産生機構を明らかにすることを目的としている。可溶型PRRは,膜結合型(全長型)PRRが細胞内プロテアーゼ(プロセシング酵素)によって特定部位で切断されて生成する。可溶型PRRを産生するプロセシング酵素として,これまでにfurinとADAM19が報告されているが,これらの働きでは十分に説明できないデータがある。本研究では,研究代表者が予想する第3のプロテアーゼが可溶型PRR産生に関わるプロセシング酵素である可能性を検証する。
平成26年度に実施した生化学的解析の結果から,可溶型PRR産生機構として,全長型PRRに候補プロテアーゼとfurinが段階的に作用するモデルが導かれた。そこで平成27年度,切断部位の異なるこれら2種類の可溶型PRRを識別するための切断部位特異的抗体を作製した。2つの抗体がそれぞれ意図した交叉性をもつことが,合成ペプチドを用いたELISA法,ならびに,大腸菌発現系で生産した組換え型可溶型PRRを用いたウェスタンブロット法によって確認された。そこで,ヒトPRR遺伝子を導入した細胞株CHO/hPRR-10Hisが産生する可溶型PRRを,両抗体を用いたウェスタンブロット法によって解析した。候補プロテアーゼによる予測切断部位を標的とする抗体は細胞内の可溶型PRRに反応したが,培地中の可溶型PRRには反応しなかった。このことから,候補プロテアーゼが関与する段階的プロセシングのモデルが支持された。しかし,furinによる予測切断部位を標的とする抗体は,細胞内と培地中のどちらの可溶型PRRとも反応しなかった。このことから,furinで切断されて生じたC末端部位は,さらに修飾されている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は,可溶型(プロ)レニン受容体(可溶型PRR)の産生機構を明らかにすることを目的としている。申請時に本研究の成否の鍵を握る研究ツールとして位置付けていた「切断部位特異的抗体」を,本年度,作製した。合成ペプチドを用いたELISA法による評価,ならびに,大腸菌発現系で生産した組換え型可溶型PRRを用いたウェスタンブロット法による評価によって,意図した抗体の作製に成功したことが確認された。得られた抗体を用いて,ヒトPRRを発現する培養細胞を解析した結果,研究代表者が予想する候補プロテアーゼが可溶型PRR産生に関わるという,学術的な新知見を支持するデータが得られた。
全体的には,交付申請書に記載の研究計画に沿って,おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

平成27年度,作製した切断部位特異的抗体を用いた解析結果から,候補プロテアーゼとfurinによる段階的切断を経て生じた可溶型PRRのC末端部位が,さらに修飾されている可能性が示唆された。そこでまず,この修飾が,カルボキシペプチダーゼによるC末端Arg残基の除去である可能性を調べるため,siRNAを用いてカルボキシペプチダーゼをノックダウンし,可溶型PRRがfurin切断部位特異的抗体との交叉性を示すかどうか明らかにする。
作製した切断部位特異的抗体を用いて,細胞内で可溶型PRRが,いつ,どこで作られ,どのように分泌されるかを,CHO/hPRR-10His細胞を用いて解析する。PRRは主に小胞体に局在しており,ゴルジ体で可溶型に変換された後,分泌されると考えられる。申請者のこれまでの実験結果を考え合わせると,全長型PRRの小胞体からゴルジ体への輸送,ならびに切断後の可溶型PRRの細胞内輸送は,何らかの調節を受けていると考えられる。このことを念頭に,以下の実験を進める。①可溶型PRRがどこで作られるかを明らかにするため,切断部位特異的抗体とオルガネラ・マーカーとで細胞を二重染色し,細胞内分布を解析する。②可溶型PRRの生成を経時的に解析する。可溶型PRR生成の経時変化は,切断部位特異的抗体を用いたウェスタンブロット法,ならびに免疫蛍光抗体法で解析する。③可溶型PRRの産生量がどのような条件で変化するか,様々な薬剤で細胞を処理し,その影響を評価する
以上の結果を踏まえて,可溶型PRR産生機構のモデルを提唱する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に予算計上していた論文校閲・掲載料,ならびに学会発表のための旅費の支出がなかったため。

次年度使用額の使用計画

現在,論文作成中であり,校閲・掲載料を支出予定である。また,学会発表を予定しており,旅費を支出予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Scott & White Healthcare/Texas A&M Health Science Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Scott & White Healthcare/Texas A&M Health Science Center
  • [学会発表] 可溶型(プロ)レニン受容体の産生機構2016

    • 著者名/発表者名
      中川 寅,中川 千春,渡辺 晃子,浅見 映理子,海老原 章郎,鈴木 文昭
    • 学会等名
      血圧とホルモン科学協会 第8回(プロ)レニン受容体フォーラム
    • 発表場所
      岐阜大学医学部記念会館
    • 年月日
      2016-03-19

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-27  

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