研究課題
本研究では、植物トリテルペノイドの生合成に関わる新規生合成酵素の同定、および、生合成遺伝子の組織特異的・外部シグナル応答性の遺伝子発現制御に関わる転写因子の同定を目指した。植物トリテルペノイドには重要生薬の主活性成分として知られる化合物が含まれていることから、植物トリテルペノイドの生合成がどのような機構で制御されているのかを明らかにすることで生合成をより促進するような栽培条件の確立、成分含量の高い優良系統の選抜育種などに有用な情報が得られることが期待できる。さらには、生合成制御においてキーとなる転写因子を同定し、それを高発現する培養組織を作出することで有用トリテルペノイドの代謝工学への展開が期待できる。平成27年度中に、マメ科カンゾウ(甘草)が生産するグリチルリチンおよびマメ科植物全般が生産するソヤサポニンに注目し、先に同定していた生合成酵素(β-アミリン合成酵素、CYP88D6およびCYP93E3)遺伝子の発現制御に関わるプロモーター単離ならびに候補転写因子の遺伝子単離を行った。平成28年度は、選抜した9種の候補転写因子について上記3種の生合成遺伝子プロモーターに対する転写活性化能を解析し、1種がソヤサポニン生合成に関わるCYP93E3(β-アミリン24位水酸化酵素)遺伝子プロモーターからの転写を30倍以上活性化することを明らかにした。また、カンゾウ培養組織において高く発現しオレアノール酸およびベツリン酸生合成に関わる新規P450(β-アミリン28位酸化酵素、CYP716A179)を同定した。さらに、キキョウの根(桔梗根)に含まれるトリテルペノイド配糖体の生合成に関わる新規P450を同定すべくトランスクリプトーム解析を行い、根において高く発現するP450遺伝子の選抜と機能解析を行うことにより新規P450(β-アミリンβ16位水酸化酵素、CYP716A141)を同定した。
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