研究課題/領域番号 |
26450126
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣政 恭明 九州大学, 農学研究院, 准教授 (40291934)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | アロステリック効果 / タンパク質の動的構造変化 / 機能制御 |
研究実績の概要 |
本研究の中心課題は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体をリン酸化する特異的キナーゼ(PDK)の制御機構の解明を目指し、制御因子がキナーゼに及ぼす動的構造変化の解明を試みるものである。まず、前年度に得られた変異体を用い、PDK2とリガンドの相互作用による動的変化を測定した。その結果、ATPやADPなど基質との相互作用では、C末端領域の運動は限定的なものであったが、ピルビン酸をさらに加えると、運動性が非常に大きくなることが明らかとなった。C末端領域は、基質であるE1タンパク質との相互作用に重要である事から、ピルビン酸/ヌクレオチドによるキナーゼの機能制御と構造変化が密接に関係することが示唆された。また、ミトコンドリア内のREDOX反応により、C末端領域のC384が修飾されることによるPDK2の制御が示唆された(Hurd et al.(2012) J.B.C.)。この点について、化学修飾法並びに数種の変異体を用いREDOX反応による機能制御について検証した。その結果、ヨードアセトアミド(IAA)による修飾はキナーゼの機能に大きな変化を及ぼさなかった。一方、マレイミドなどサイズの大きな修飾基による修飾では、活性が大きく低下した。また、蛍光による動的構造変化においても、マレイミドによりC末端領域の構造運動性が大きくなることが明らかとなった。これらのことから、Cysの修飾はキナーゼの機能に影響を及ぼすことが確認された。一方、Hurdらが提唱したCysのヒドロキシル化によるキナーゼ活性の消失の可能性に対しては、修飾基のサイズから難しいことが示唆された。いずれの結果も、C末端領域とキナーゼの機能制御についての関係を、ドメインの運動性から明らかにした初めての結果である。PDK1については、既に定常光による蛍光解析が終了しており、次年度ではPDK2の測定条件を基礎に動的変化測定を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に生じた遅れの影響が、本年度に影響し、特にまとめの部分で多く見られた。このため、研究期間を29年度まで、延長し研究のまとめ、ならびに論文発表を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度が、最終年度であり、PDK1とPDK2との比較研究を中心に実施する予定である。また、学会発表や論文発表など、研究のまとめを行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文発表費、学会への出張費において差額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
29年度は最終年度であり、学会発表ならびに論文発表など、研究のまとめを中心に行う。
|