本研究は、ヒトピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ (PDHK)の機能制御の解明を目的に、リガンド結合によるC末端に存在するクロスアーム構造の変化について、PDHK2のTrp383の蛍光を指標とした物理化学的手法により明らかにした。また、ROSによるCys384の化学修飾によるPDHKの機能制御について検討した。ADPとピルビン酸がPDHK2と共結合すると、Trp383を含むC末端構造の運動性が増加しクロスアーム構造が開放され、基質であるPDCとの相互作用が失われた。PDHK1についても同様の結果を得た。また、Cys384の化学修飾によりクロスアーム構造の形成が阻害されることがわかった。
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