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2016 年度 実績報告書

出芽酵母を用いたスフィンゴ脂質の代謝制御メカニズムと構造機能相関の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26450127
研究機関九州大学

研究代表者

谷 元洋  九州大学, 理学研究院, 准教授 (20452740)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード複合スフィンゴ脂質 / セラミド / 出芽酵母
研究実績の概要

本申請研究は、出芽酵母における複合スフィンゴ脂質の生物機能を、その構造多様性の観点から明らかにすることを目標としている。平成29年度は、以下の二つの課題について研究を行った。
(1) これまでに研究代表者らの研究によって、複合スフィンゴ脂質のサブタイプの一つであるMIPCが細胞壁機能維持に重要であることを明らかにしてきている (Mol Microbiol(2015)95,706-722)。本研究ではこのメカニズムを詳細に解明するために、MIPC生合成欠損による細胞壁機能損傷を補填するマルチコピーサプレッサーの探索をおこなった。その結果、エルゴステロールの生合成に関わるERG13遺伝子をマルチコピーサプレッサーとして同定した。MIPCとエルゴステロールの二重代謝異常株では、それぞれの単独代謝異常株と比較して、細胞壁強度の指標となるSDS感受性、ザイモリエース感受性が顕著に増大することがわかった。さらに、MIPCとエルゴステロールの二重代謝異常株では、細胞壁機能異常を補填するシグナル伝達系 (cell wall integrity pathway)のMAP kinaseであるSlt2のリン酸化が亢進していることも確認された。これらのことより、MIPCとエルゴステロールは協調的に細胞壁の機能維持に関与していることが示唆された。
(2) セラミドに親水性頭部を付加して複合スフィンゴ脂質を生合成する酵素Aur1は、酵母の生育に必須である。本研究では、複合スフィンゴ脂質枯渇による生育損傷のメカニズムを明らかにする目的で、トランスポゾンミュータジェネシスを用いて、Aur1抑制による生育阻害に耐性になる遺伝子変異の探索をおこなった。その結果、8個の遺伝子を同定し、この結果より特定のストレス応答シグナル伝達系の活性化が、複合スフィンゴ脂質枯渇による細胞機能障害を補填していることを明らかにした。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Yeast lacking the amphiphysin family protein Rvs167 is sensitive to disruptions in sphingolipid levels2016

    • 著者名/発表者名
      Toume M, and Tani M
    • 雑誌名

      FEBS J

      巻: 283 ページ: 2911-2928

    • DOI

      doi:10.1111/febs.13783

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Structure-Function Relationship of Complex Sphingolipids in Yeast2016

    • 著者名/発表者名
      Tani M
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology

      巻: 28 ページ: E109-E116

    • DOI

      doi: 10.4052/tigg.1509.1E

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 酵母における複合スフィンゴ脂質の構造機能相関2016

    • 著者名/発表者名
      谷 元洋
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology

      巻: 28 ページ: J107-J114

    • DOI

      doi: 10.4052/tigg.1509.1J

    • 査読あり
  • [学会発表] スフィンゴ脂質生合成破綻下での生育維持に必要な酵母シグナル伝達系の解析2016

    • 著者名/発表者名
      谷 元洋, 山口 雄太郎, 甲木 佑佳, 川口 諒太郎
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2016-09-27
  • [学会発表] 複合スフィンゴ脂質MIPCとエルゴステロールの協調的作用による細胞壁機能維持2016

    • 著者名/発表者名
      田中 聖也, 谷 元洋
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第49回研究報告会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2016-09-10
  • [学会発表] スフィンゴ脂質生合成破綻による生育阻害を補完するストレス応答シグナルの解析2016

    • 著者名/発表者名
      谷 元洋, 山口 雄太郎, 甲木 佑佳, 川口 諒太郎
    • 学会等名
      酵母遺伝学フォーラム第49回研究報告会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2016-09-10
  • [学会発表] 出芽酵母の複合スフィンゴ脂質MIPCのcell integrity維持における機能2016

    • 著者名/発表者名
      田中 聖也, 森元 雄士, 谷 元洋
    • 学会等名
      平成28年度 日本生化学会九州支部例会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2016-05-15
  • [学会発表] Physiological significance of biosynthesis of mannosylinositol phosphorylceramide in the yeast Saccharomyces cerevisiae2016

    • 著者名/発表者名
      Tani M, Morimoto Y, Tanaka S, Toume M
    • 学会等名
      2016 1st Korea-Japan Bioactive Lipid Joint Symposium
    • 発表場所
      Korea
    • 年月日
      2016-05-12
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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