本研究では、出芽酵母における複合スフィンゴ脂質の構造多様性と多彩な生物機能の連関性を明らかにすることを目指した。その結果、複合スフィンゴ脂質のサブタイプの一つであるMIPCが細胞壁機能維持に重要であること、スフィンゴ脂質の総量の制御をすることで植物病原菌毒素やエンドサイトーシス機能不全に対する抵抗性を付与できること、複合スフィンゴ脂質の組成パターンが変化することで細胞内pHホメオスタシス崩壊下における細胞機能不全を補填できること、等を明らかにした。これらの成果は、複合スフィンゴ脂質の適正な量と質 (構造多様性)が多彩な細胞機能維持に重要である、という理解に繋がった。
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