研究実績の概要 |
平成27年度実施計画にしたがい、連携研究者によって調製・供給された微生物培養液サンプルを用いて、Escherichia coli KB366, Klebsiella pneumoniae KB365およびPseudomonas aeruginosa KB375を検定菌としてメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)耐性克服活性を有する微生物培養液のスクリーニングを行った。その結果、MBL耐性克服活性の強い検体の培養液を選択して再培養し、Penicillium sp. FKI-6957培養物からanhydrofulvic acidを同定した。単離した化合物のMBL阻害活性をin vitroで評価した。阻害活性はβ-ラクタマーゼで開環することにより色調の変化するニトロセフィンを用いる簡易法を用いて測定した。MBLはMBL産生肺炎桿菌よりクローニングし、BL21で過剰発現させることで精製した。平成26年度にPaecilomyces sp. FKI-6801培養液より単離した3Z,5E-octa-3,5-diene-1,3,4-tricarboxylic acid 3,4-anhydride(ODTAA)も同様に、MBL阻害活性試験を行った。Anhydrofulvic acidのIC50は20 µg/mLを示し、ODTAAのIC50は24 µg/mLであった。両化合物がMBLを阻害することは新知見であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度実施計画に従い、連携研究者によって調製・供給された微生物培養液サンプル2,696検体を用いて、Escherichia coli KB366, Klebsiella pneumoniae KB365およびPseudomonas aeruginosa KB375を検定菌としてメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)耐性克服活性を有する微生物培養液のスクリーニングを行った。その結果、MBL耐性克服活性の強い2検体の培養液を選択して、それらを再培養した。そのうちPenicillium sp. FKI-6957培養物からanhydrofulvic acidを単離・同定した。また、平成26年度にPaecilomyces sp. FKI-6801培養液より単離した3Z,5E-octa-3,5-diene-1,3,4-tricarboxylic acid 3,4-anhydride(ODTAA)を用いて3つの誘導体化合物を合成した。いずれの化合物にも、E. coli KB366およびK. pneumoniae KB365検定菌を用いてMBL耐性克服活性があることを確認した。
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