研究課題/領域番号 |
26450143
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
須貝 威 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (60171120)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リパーゼ / 位置選択的反応 / 脱アセチル化 / ポリフェノール |
研究実績の概要 |
リパーゼの位置選択的脱アセチル化能力を活用する、プロポリス由来のプレニル化フェノール、artepillin Cの効率的合成を達成した。蜜蜂の巣の構成成分であるプロポリスは、ヨーロッパを中心に古くから抗菌、抗炎症作用を有する民間薬として用いられ、日本では、健康補助食品として病気の予防、治療目的で服用されている。阿賀らはブラジル産プロポリスからartepillin C を見出し、単離、構造決定した。 本研究では、4-メトキシフェノールから出発し、既知物質である2,6-ジアリル-4-メトキシフェノールを経由する合成を試みた。2-メチル-2-ブテンとのクロスメタセシスで、ジプレニル体に導き、酸化的脱メチル化でジオールとし、位置選択的反応を経て溝呂木・ヘック反応の基質に誘導した。最後に、アクリル酸メチルとのカップリングを経てartepillin C を合成した。 宮沢らは、ヒドロキノンジアシラートに対し、C. antarctica由来のリパーゼを触媒とし、第二級アルコールを求核剤として作用させると、かさ高いt-Bu基が隣接していない一方のアシル基のみが選択的に除去されると報告している。この先行例を参考に、本研究において鍵段階として、リパーゼを触媒とする、位置選択的脱アセチル化を検討した。上述のジオールをジアセタートとし、C. antarctica由来のリパーゼを触媒とし、求核剤兼溶媒として2-propanolを作用させたところ、目的とするモノアセタートを得反応温度を50 ˚Cにまで上げたところ、収率は定量的にまで上昇した。生じたモノアセタートの遊離ヒドロキシ基をトリフリル化し、高い収率で鍵中間体を調製することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述の成果に示すように、リパーゼの位置選択的触媒機能を十二分に生かし、生物活性天然物の新しい効率的合成に成功している。そこで得られた知見を、ポリフェノール構造を持つフラボノイド等に応用し、予備的な知見を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
希少ポリフェノール類を、天然に豊富な植物資源、あるいは食品製造における不要物等を出発原料として、前年度に見出した、リパーゼ等酵素触媒の位置選択的変換によって合成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
有効活用を目指し、無駄な支出を削減し経費節減に努めたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究は原則として当該年度計画に従って実施予定であるが、高価な酵素製剤(キラルスクリーンなど)や基質、反応追跡に有用な標準品、分析用の消耗品に充当し、より有効に活用する。
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