研究課題/領域番号 |
26450144
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
梅原 三貴久 東洋大学, 生命科学部, 准教授 (30469895)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ストリゴラクトン / イネ / 代謝 / シトクロムP450 / LC/MS-MS |
研究実績の概要 |
ストリゴラクトン(SL)は、根寄生植物の発芽や植物の枝分かれを制御することが知られている。これまでに様々な化学構造をもつSLが発見されており、イネでは4-deoxyorobanchol(4DO)やorobanchol(O)などのSLが産生される。4DOはSLの基本骨格であり、4DOからどのようにして、様々な化学構造をもつSLへと代謝されるのかは不明である。そこで、4DOの4位が水酸化されたOに着目した。4DOからOへの代謝にはシトクロムP450(CYP711A3)が関わっている。シトクロムP450の阻害剤として、ジベレリン(GA)生合成酵素阻害剤である、ウニコナゾールPが知られている。本実験では、ウニコナゾールPをイネに処理することで、内生SL量がどのように変動するか、高速液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用いて調べた。その結果、水耕液ではウニコナゾールP 1×10-9 M、1×10-8 Mにおいて4DOとOともに増加した。またウニコナゾールP 1×10-6 M でOが減少し、4DOの蓄積が見られた。根では、水耕液と同様、ウニコナゾールP 1×10-9 M、1×10-8 Mで4DOは増加したが、Oは水耕液に比べて少なかった。GA3 とウニコナゾールP 1×10-8 、1×10-6 M を同時に添加した水耕液では、SLは検出されなかった。GA3を処理することで水耕液のSLが減少したことから、GAがSL量を調節している可能性がある。1×10-9 M、1×10-8 MでSL量が増加したことは、ウニコナゾールP処理によってGAが減少したため、SL量が増加したと考えられる。ウニコナゾールP 処理によってOが減少したことから、Oを生合成するシトクロムP450(CYP711A3)がウニコナゾールP によって阻害されたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来、初年度中に終了予定であった重水素標識した4-deoxystrigolの取り込み実験についてまだデータが完全にそろっていないため。
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今後の研究の推進方策 |
4-deoxystrigolからorobancholへの変換反応については、CYP711A3が担うことが半Zhang et al. によって2014年にPNASに報告された。そこで、その先の反応であるorobanchyl acetateやmethyl-orobancholなどの変換反応を代謝する酵素を探索する。アセチルトランスフェラーゼやメチルトランスフェラーゼでリン酸欠乏や窒素欠乏に応答して発現が上昇する遺伝子をマイクロアレイで絞り込み、それらの欠損系統を取得し、のorobanchyl acetateやmethyl-orobanchol量をLC/MS-MSで分析する。また、重水素標識4-deoxystrigolの取り込み実験を行い、代謝反応をモニターする。
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