研究課題/領域番号 |
26450145
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
松儀 真人 名城大学, 農学部, 教授 (90324805)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フルオラスケミストリー / 液相ミクスチャー合成 / 相間移動触媒 / 天然物 / 全合成 |
研究実績の概要 |
昨年度までにミディアムフルオラスケミストリーを基点とする合成戦略により「固相-液相間を移動するメタセシス触媒反応系」を達成すると共に、「フルオラスMnサレン錯体を用いた不斉エポキシ化反応でのフルオラス共溶媒効果」を見出すことができた。 今年度は、当初の研究計画に基づき、「カラムクロマトグラフィーを必要としないタグ化標的化合物の新規精製法の開発」、並びに「フルオラスエンコード法による emericellamide A 立体異性体(8 種類)の一挙合成」を中心に研究を遂行し、以下の研究成果を得た。 ①フルオラス分子の疎水性と反応媒体の疎フルオラス性制御を利用することで、カラムクロマトグラフィーを用いず、水の添加のみで分離精製を可能にするジペプチド合成法のルーティン化に成功した。アセトニトリル中、ミディアムフルオラス Fmoc 基をアミノ酸の保護基かつ疎水性タグとして用いれば、HOBT-HBTU 縮合、並びに保護・脱保護の各反応後の溶媒組成を30%含水系にするだけで、各段階の生成物は濾過操作により高純度で単離できることを明らかにした。例えば、フェニルアラニンとアラニンの縮合では、N末端のフルオラス保護・脱保護含めて78%(3段階収率)、95%の純度(HPLC)で対応するジペプチド体を一切カラム精製することなく単離することに成功した。 ②フルオラスエンコード法による emericellamide A の立体異性体の一挙合成では、全合成の鍵フラグメントとなるトリペプチド鎖部分の全ての立体異性体を合成することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究目標として、フルオラスエンコード法による emericellamide A の立体異性体の一挙合成を掲げていた。今回、不斉全合成の鍵フラグメントとなるトリペプチド鎖部分の全ての立体異性体の合成を達成した。現在、マクロ環形成の最終段階で必要となる残りのフラグメント部位の不斉合成を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的は「フルオラスケミストリーの新知見として蓄積した合成技術(ミディアムフルオラスケミストリー)を基点とし、有用な生物活性物質やその立体異性体(類縁体)を手際よく高効率で迅速に合成できる実用的分子合成技術を開拓することである。 今後、フルオラス Fmoc エンコード法による emericellamide A 立体異性体の一挙合成を進め、目的の立体異性体を全て全合成する。また、不斉リガンドの空間的隣接位にフルオラスタグを複数導入した不斉Mnサレン錯体(並びにコモンメタルを中心金属としたユビキタス触媒)を合成し、分子内 fluorophilicity を利用した不斉環境多点認識型不斉酸化触媒としての活用を模索する。
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