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2014 年度 実施状況報告書

長い共役系を有するレチナール様発色団による新規チャンネルロドプシンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26450146
研究機関神戸薬科大学

研究代表者

和田 昭盛  神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (80158683)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードチャンネルロドプシン / 発色団 / 共役系 / 赤色光 / 長波長吸収 / ケミカルバイオロジー
研究実績の概要

予備実験としてβ―イオニリデンアセトアルデヒドにエーテル中アリルアミンを反応させると、定量的に非共役型のイミンが定量的に得られた。得られたイミンを異性化して共役イミンとするために、塩基や溶媒等を種々検討したところテトラヒドロフラン中、18-クラウンエーテルとt-ブトキシカリウムを用いると最も良く異性化が進行し、定量的に共役したイミンを二重結合に関する異性体混合物(E:Z=11:2)として得ることができた。同様のルートによりA1およびA2アルデヒドから共役したイミンへと収率よく変換できた。これらの発色団については、Ch1Ch2チャンネルロドプシンのリジン残基をグリシンあるいはアラニンに変異させたミュータントオプシンと結合するかどうかについてコンピューターを用いて発色団のコンホメーションについて考察したところ、グリシンに変えたオプシンとの結合が有利なることが示唆された。
実際にミュウタントプシンを作成し、ChRアナログを形成するかどうか結合実験したところ、アラニンミュータントとは結合しないのに対してグリシンミュータントとは新規ChRアナログを与えることが判明した。
また、共役系の長い発色団としては、サフラナールを出発原料としHorner-Emmons反応による共役系の延長と官能基変換を繰り返して、レチナール側鎖に二重結合を一つ挿入した新規アナログ化合物3種を合成することができた。今後、タンパク質オプシンと結合するかどうかを検討し、側鎖における二重結合を導入する位置としてどこが最も適しているかを明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

A1およびA2アルデヒドのエナミン型発色団は、Ch1CH2チャンネルロドプシンのリジン残基をグリシンに変えたミュータントオプシンと結合し、新たにできたチャンネルロドプシン吸収極大はもとのものに比べて30nmから40nm長波長側にシフトした吸収極大をあたえることが判明した。また、レチナールの側鎖部分に二重結合を導入した化合物を効率よく合成することができた。これらの発色団とのCh1Ch2オプシンと結合するかどうかを検討すると共に、シッフ塩基部分に共役系を付加すれば、更に長波長側に吸収極大を持つチャンネルロドプシンの開発が期待できようになった。

今後の研究の推進方策

長波長での吸収極大を持たせる次の方法として、A1レチナールの4位、あるいはA2アルデヒドの3位から更に二重結合を伸長させた発色団の効率のよい合成法を確立する。できたアナログでは、天然のオプシンと結合するかどうかを検討する。結合した場合には、光挙動を調査し機能発現ができるかどうかを確認する。
さらにコンピューターを用いた発色団のコンホメーション解析を実施するとともに、より長波長に吸収極大をもつ発色団の設計と合成をおこなう。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] Single-Molecule Observation of the Ligand-Induced Population Shift of Phdopsin, A G-Protein-Coupled Receptor2014

    • 著者名/発表者名
      Maeda, R.; Hiroshima, M.; Yamashita, T.; Wada, A.; Nishimura, S.; Sako, Y.; Shichida, Y.; Imamoto, Y.
    • 雑誌名

      Biophys. J.

      巻: 106 ページ: 915-924

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2014.01.020

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inhibition of lysine-specific demethylase 1 by the acyclic diterpenoid geranylgeranoic acid and its derivatives2014

    • 著者名/発表者名
      Sakane, C.; Okitsu, T.; Wada, A.; Sagami, H.; Shidoji, Y
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys. Res. Commun.

      巻: 444 ページ: 24-29

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2013.12.144

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of (3S,3S')- and meso-stereoisomers of alloxanthin and determination of absolute configuration of alloxanthin isolated from aquatic animals2014

    • 著者名/発表者名
      Yamano, Y.; Maoka, T.; Wada, A.
    • 雑誌名

      Mar. Drugs

      巻: 12 ページ: 2626-2632

    • DOI

      10.3390/md12052623

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Iodocyclization of Ethoxyethyl Ethers to Ynamides: An Immediate Construction to Benzo[b]furans2014

    • 著者名/発表者名
      Okitsu, T.; Nakata, K.; Nishigaki, K.; Michioka, N.; Karatani, M.; Wada, A.
    • 雑誌名

      J. Org. Chem.

      巻: 79 ページ: 5914-5920

    • DOI

      101021/jo500903y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Color-Discriminating Retinal Configurations of Sensory Rhodopsin I by Photo-Irradiation Solid-State NMR Spectroscopy2014

    • 著者名/発表者名
      Yomoda, H.; Makino, Y.; Tomonaga, Y.; Hidaka, T.; Kawamura, I.; Okitsu, T.; Wada, A.; Sudo, Y.; Naito, A.
    • 雑誌名

      Angew. Chem. Int. Ed.

      巻: 53 ページ: 6960-6964

    • DOI

      10.1002/anie.201309258

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ビタミンA誘導体を用いた生物有機化学的研究2014

    • 著者名/発表者名
      和田 昭盛
    • 雑誌名

      ビタミン

      巻: 88 ページ: 72-81

    • 査読あり
  • [学会発表] 3-メチレン-4-アミド-1,2-ジアゼチジンの求核的開環反応2014

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、小林 恵子、吉田 淳美、吉田 裕司、和田 昭盛
    • 学会等名
      第40回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2014-11-10
  • [学会発表] β-ジケトン構造を有するアセチレンカロテノイドmytiloxanthinの立体選択的全合成2014

    • 著者名/発表者名
      山野 由美子、大畑 雅裕、和田 昭盛
    • 学会等名
      第40回反応と合成の進歩シンポジウム
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2014-11-10
  • [学会発表] 7-ヒドロキシレチノイン酸の合成と生物活性2014

    • 著者名/発表者名
      和田 昭盛、山野 由美子、笠原 奈那子、脇本 友絵、中川 公恵、岡野 登志夫
    • 学会等名
      日本レチノイド研究会第25回学術集会
    • 発表場所
      秋田
    • 年月日
      2014-10-11
  • [学会発表] Preparation of Red-Shifted PSB of Retinal Having Enamine Structure2014

    • 著者名/発表者名
      Wada, A.; Okitsu, T.; Futamura, N.; Niimi, Y.; Ishizuka, T.; Yawo, H.; Matsuyama Hoyos, T.; Yamashiya, T.; Shichida, Y.
    • 学会等名
      16th International Conference on Retinal Proteins
    • 発表場所
      Nagahama
    • 年月日
      2014-10-05 – 2014-10-10
  • [学会発表] イナミドのヨード環化反応を利用したベンゾフランの即時合成2014

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、中田 康平、西垣 賢志、道岡 直幸、柄谷 光章、和田 昭盛
    • 学会等名
      第17回ヨウ素学会シンポジウム
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2014-09-19
  • [学会発表] mytiloxanthinの立体選択的全合成2014

    • 著者名/発表者名
      山野 由美子、大畑 雅裕、和田 昭盛
    • 学会等名
      第28回カロテノイド研究談話会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2014-09-05
  • [学会発表] ガックに含まれる-Caroteneの酸化代謝産物について2014

    • 著者名/発表者名
      眞岡 孝至、山野 由美子、和田 昭盛
    • 学会等名
      第28回カロテノイド研究談話会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2014-09-05
  • [学会発表] 3-メチレン-4-アミド-1,2-ジアゼチジンへのアリルシランの求核的開環反応2014

    • 著者名/発表者名
      沖津 貴志、小林 恵子、吉田 淳美、和田 昭盛
    • 学会等名
      第34回有機合成若手セミナー
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2014-08-05

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公開日: 2016-05-27  

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