研究課題/領域番号 |
26450152
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
棟居 聖一 金沢大学, 医学系, 助教 (10399040)
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研究分担者 |
山本 博 金沢大学, その他部局等, 理事 (00115198)
山本 靖彦 金沢大学, 医学系, 准教授 (20313637)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 食品 / RAGE / 機能性成分 |
研究実績の概要 |
マルチリガンド受容体として知られるRAGE(Receptor for advanced glycation end-products)は種々のリガンドと結合して細胞内シグナルを誘導し、その結果、糖尿病血管障害、がん、炎症、アルツハイマー病等の病態を悪化させる。それゆえ、RAGEシグナルを阻害することは、RAGE関連疾患の予防・治療にとって重要である。研究代表者らは日本古来の発酵調味料である醤油から得られる低分子画分にRAGEシグナル阻害成分が含まれることを初めて明らかにした。そこで本研究は、醤油由来低分子画分に含まれる新規RAGEシグナル阻害成分の実体とその阻害メカニズムを明らかにすることを目的とする。本年度は、この目的を達成するために以下の2つの実験を行った。 1.内在性分泌型RAGE(endogenous secretary RAGE, esRAGE)親和性カラムの作製:RAGEの細胞外領域のみを持つヒトesRAGEを発現するベクターを作製し、サル由来のCOS7細胞に導入後、安定発現株を得、細胞外に分泌されたesRAGEを含む培養上清を集めた。集めた培養上清をヘパリンカラム、抗RAGE抗体カラムにより精製しesRAGE組換えタンパクを得た。得られたesRAGEを樹脂に固相化しesRAGE親和性カラムを作製した。2.醤油由来低分子画分の精製:醤油を逆相クロマトグラフィーにより脱塩し、ゲルろ過により5,000以下の画分とそれ以上の画分に分画し、醤油由来の低分子画分を得た。 以上、醤油由来の低分子画分に存在するRAGEシグナル阻害成分を明らかにするために必要な原材料を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は醤油低分子画分に含まれるRAGEシグナル阻害成分を精製するために、RAGEの細胞外領域のみを持つ可溶型スプライシングバリアントesRAGEの組換えタンパクを作製し、樹脂に固相化することにより可溶型RAGE親和性カラムを作製した。また醤油から分子量5,000以下の低分子画分を調整した。これらは概ね実験計画通りであり順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、RAGEシグナル阻害機構を明らかにするため、まず様々なリガンド刺激に依存したRAGEのシグナル伝達と細胞膜上での局在について解析を行う。またRAGE過剰発現細胞を用いてリガンド依存的なRAGEシグナルと多量体形成との関係を明らかにする。 平成28年度は、ヒトesRAGE親和性カラムにより醤油由来のRAGE結合成分を得たのち、質量分析装置を用いてRAGEシグナル阻害成分の実体を明らかにする。また、RAGEの様々な領域の組換えタンパクを作製し、RAGEの多量体形成に必要な領域を明らかにする。
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