研究実績の概要 |
初年度の研究計画通り,本態性高血圧自然発症ラットの内皮除去胸部大動脈リング標本を用いたex vivo ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害活性測定法を開発し,発酵キョウバク由来ACE阻害ペプチド(FBP)のex vivo ACE阻害活性(ACEI)を測定した。4種類のFBP,WTFR,FDART,DVWY,FQの50% アンジオテンシンII生成阻害濃度(IC50)は5.64,41.7,70.5,90.9μM,50%血管収縮抑制濃度(EC50)は36.8,53.6,68.2,85.1μMであった。ピアソン相関分析で,両者の高い相関性(相関係数r値:0.992,危険率p値:0.008)を明らかにし,本研究で開発したex vivo ACEI測定法の妥当性を確認した。そして,ex vivo ACEIとin vitro ACEIおよびin vivo ACEIのピアソン相関分析で,ex vivo ACEIとin vivo ACEIの高い相関,ex vivo ACEIとin vitro ACEIの低い相関を明らかにした。この結果は、FBPのin vivo ACEIには、酵素との結合力に加えて組織親和性などの要素が関与していることを示唆している。また,H27年度実施予定であった,FBPの血管組織への移行とそのフラグメントペプチド生成を,最も活性の高いFBPであるWTFRを用いたex vivo ACEI測定系を用いて試験した。WTFRは,添加後直ちに血管に移行し,インキュベーション時間経過とともに増加,フラグメントペプチドWTR, TFR, WT, FRを生成することをLC/MS分析で明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H26年度に計画した研究を全て終了させ,H27年度以降に行う研究の一部を実施した。そして結果を,ペプチド討論会(Difference between in vitro, ex vivo, and in vivo ACE inhibitory activities of antihypertensive peptides,第51回ペプチド討論会講演要旨集, p22, 徳島(徳島大学大塚講堂),平成26年10月22日),日本農芸化学会(ex vivo試験を用いた降圧ペプチドの組織ACE阻害特性の検討,日本農芸化学会2015年度大会講演要旨集,3F26a15,岡山(岡山大学津島キャンパス),平成27年3月28日)で学会発表すると共に2件の論文発表(Koyama, M; Hattori, S; Amano, Y; Watanabe, M; Nakamura, K* Blood Pressure-Lowering Peptides from Neo-Fermented Buckwheat Sprouts: a New Approach to Estimating ACE-Inhibitory Activity, PLoS ONE, 9(9), e105802, 2014: Koyama, M; Okitsu, S; Watanabe, A; Nakamura, K* Difference between In Vitro, Ex Vivo, and In Vivo Angiotensin I Converting Enzyme Inhibition by Antihypertensive Peptides from Fermented Buckwheat Sprout, Peptide Science 2014, 43-46, 2015)を行った。
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