研究課題
超高齢社会となり、高齢者が健康的に自立した生活が行える期間である健康寿命の延伸が求められている。食生活による健康寿命の延伸として、食品に含まれる機能成分の活用が期待されている。加齢に伴い増加する主要な疾病として、認知症や運動器症候群(ロコモティブシンドローム)があり、これらは病的血管新生を伴うことやオートファジー機能の低下が関与していることが知られている。そこで、血管新生抑制作用とオートファジー活性化作用を有する機能性食品は、加齢に伴う疾病のリスクを低下させることができると考えられる。本研究では、まず血管新生抑制作用を有する食品機能成分について、オートファジー活性化作用を検討した。その結果、ローズマリーに含まれるカルノシン酸とブロッコリースプラウトに多いスルフォラファンがオートファジー活性化作用を示すことを神経細胞株で見出した。軟骨細胞でも検討した結果、両成分は同様にオートファジーを活性化することが明らかとなった。C57BL/6Jマウスに一週間、両成分をそれぞれ投与し、膝軟骨細胞でのオートファジー活性化を検討した結果、スルフォラファンではオートファジーの活性化が認められたが、カルノシン酸では明確な活性化は確認できなかった。次に、カルノシン酸を老化促進マウスに長期間経口投与し、加齢に伴う各種臓器の機能低下への影響を検討した。その結果、カルノシン酸摂取は死亡率の低下や肝臓・腎臓・脳など各種臓器の機能低下を抑制することが明らかとなった。また、比較的高濃度の長期投与であれば、膝軟骨細胞の保護効果が期待できることが示唆された。カルノシン酸の抗老化効果の分子レベルでの作用機構として、長寿と関連している転写因子FoxO3aの活性化が関与していることを新たに見出した。
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