研究課題
本研究は培養細胞機能評価系を用い、候補の機能性食品群より抗サルコペニア肥満効果の探索を行い、その機能性食品成分の単離・同定、加えて活性成分の作用点を明確にすることを目的としている。前年度までに、構築した培養細胞評価系を用いて、抗サルコペニア効果を有する機能性食品候補の探索の結果、筋肉細胞の呼吸活性増強効果を有する食品サンプルを見出し、その効果は細胞ミトコンドリアに作用することが強く示唆された。平成28年度は見出した食品サンプルの機能評価を行った。筋肉細胞機能評価の一つである細胞呼吸活性の評価はWST-1 Assayにより行い、細胞を固定後Hoechst 33342染色により細胞核数を測定することで、細胞当たりの呼吸活性の評価を行った。また細胞内のミトコンドリアの活性及び総量はRhodamine 123ならびにMitoTracker Green FMを用いた細胞染色により評価した。また食品サンプル処理時の細胞内ATP量の変化を測定した。またサルコペニア状態の誘導は炎症性サイトカインTNF-α処理により行い、筋肉タンパク質の発現変動はミオシン関連遺伝子の発現を定量RT-PCRにより評価した。その結果、見出した食品サンプルに、筋肉細胞の細胞呼吸活性を有意に上昇させる効果が認められた。そして細胞ミトコンドリア膜電位上昇および細胞内ミトコンドリア量の上昇効果が確認され、質と量の両面からミトコンドリア活性化作用を有することが考えられた。さらに、見出した食品サンプル処理によって筋肉細胞内のATP量の減少が認められた。このATP量減少はタンパク質合成の阻害によりキャンセルされたことから、タンパク質合成が誘導された結果、細胞呼吸活性の上昇が生じることが考えられた。また、定量RT-PCRの結果から、見出した食品サンプルが炎症状態で機能低下した筋肉細胞機能の回復または保護効果があることが示唆された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)
PLoS ONE
巻: 12 ページ: -
10.1371/journal.pone.017119
Integrative Cancer Therapies
巻: - ページ: -
10.1177/1534735417692097