研究課題
平成27年度の実験から、Bifidobacteriumu infantis、Bifidobacterium pseudocatenuratum、およびBifidobacterium breveといった幼児の腸内に多く見られるビフィズス菌がN-アセチルスクロサミンを特異的に良く資化して増殖すると同時に低級脂肪酸を多く生産することが明らかとなった。また、少量のグルコース存在下において、糖の2段階資化(ジオーキシ)の現象が起こり、これらのビフィズス菌は、グルコースを食べ尽くして飢餓状態に陥ると、N-アセチルスクロサミンの存在下で本オリゴ糖に対する資化能がさらに高まり良く増殖するようになることを突き止めた。これは、これらの細菌がグルコースを食べ尽くし飢餓状態に陥った後に、N-アセチルスクロサミン存在下において本オリゴ糖を特異的に分解する加水分解酵素が誘導されている可能性を示唆している。そこで、平成28年度は、N-アセチルスクロサミンを資化できる上記のビフィズス菌について、本オリゴ糖の分解に関わる酵素の探索を行なった。その結果、上記の細菌は、スクロースは分解できるがN-アセチルスクロサミンは分解できないβ-フルクトフラノシダーゼと、量オリゴ糖とも分解が可能なβ-フルクトフラノシダーゼの、2種類の酵素を生産していることが分かった。これらの2種類の酵素の性質を調べるため、両酵素の生産と抽出を行った。その結果、菌体破砕液中に明らかに2種類の酵素が存在することを確認した。また、N-アセチルスクロサミンを原料として用い、各種のエキソ型グリコシダーゼの糖転移反応を利用した新たなN-アセチルグルコサミン含有ヘテロオリゴ糖の合成を試み、この3年間で新規構造を有する5種類の3糖と1種類の4糖を合成することに成功した。数種の腸内細菌に関して、これらのオリゴ糖に対する資化能を調べた。
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