研究課題/領域番号 |
26450167
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研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
高木 勝広 松本大学, 人間健康学部, 教授 (80279562)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インスリン / イソチオシアネート / ポスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ / シグナル伝達経路 |
研究実績の概要 |
インスリンは、肝における糖新生系酵素 phosphoenolpyruvate carboxykinase(PEPCK)遺伝子の発現誘導を抑制する。したがって、PEPCK遺伝子の発現誘導をインスリン以外の物質で抑制できれば、糖尿病および予備軍の治療や発症予防に有用であると思われる。現在までに、ワサビの辛味成分である 6-methylsulfinylhexyl isothiocyanate(6-MSITC)が PEPCK mRNA の発現誘導を抑制することを認めている。そこで本研究は、6-MSITC がPEPCK mRNA の発現抑制に与える影響を詳細に検討するとともに、その発現抑制メカニズムを明らかにする目的で実験を行った。 ラット高分化型肝癌細胞株である H4IIE 細胞を様々な濃度の 6-MSITC で処理した後、total RNA を調製し、リアルタイムPCR法を用いて細胞内における PEPCK mRNA の発現量を測定した。その結果、PEPCK mRNA の発現誘導は、6-MSITC により濃度依存的に抑制されること、また10μM 6-MSITC 処理により、4 時間と早期に抑制されることが明らかになった。次に各種シグナル伝達経路の酵素阻害剤を用いて、6-MSITC による PEPCK 遺伝子の発現誘導機構の解析を行った。その結果、protein kinase C の阻害剤である staurosporine、DNA依存性RNAポリメラーIIの阻害剤である actinomycin D、タンパク質合成阻害剤の cycloheximide により、それぞれが強く阻害された。したがって、6-MSITC による PEPCK mRNAの誘導抑制は PKC 経路を介すること、そして何らかの転写因子を介することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通りに実験を進めているが、阻害剤によるシグナル伝達経路の実験において、生理条件下における阻害剤実験が必要になったため、実験の追加を行っている。したがって、平成27年度の実施計画から若干遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に行う予定の実験を若干残しているが、それと並行しながら本年度に行うべく研究に手をつけていきたいと考えている。研究計画の変更等はありません。 実りある研究成果を得るために、その都度ディスカッションを行うなど、冷静かつ着実に研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究計画が若干遅れた為、予定した実験に手をつけることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に予定していた実験と合わせ、可能な限り今年度計画に則り研究を進めていく。
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