研究課題
これまでに食品由来因子による糖尿病予防研究を実施して成果をあげてきた。その元凶となる肥満の克服のために、新たな抗肥満戦略として白色脂肪組織中に「誘導型」の褐色脂肪細胞を増やす食品由来因子を明らかにすることを本研究の目的としている。哺乳動物の脂肪組織において「褐色脂肪組織」は脂肪を消費して体熱産生を行い、体温維持を担う。従って「褐色脂肪組織」の増大は、エネルギー消費を促進する。最近、褐色脂肪組織は、成人にもあり加齢により低下し、肥満と相関すること、従来からある「既存型」とは細胞起源の異なる脂肪前駆細胞から分化転換する「誘導型」が白色脂肪組織中に多数出現し、熱産生によりエネルギー消費が継続的に増加して体脂肪が減少することも明らかになっている。このような背景を踏まえて本研究では、まず褐色脂肪細胞化を誘導する食品由来因子を明らかにすることを26年度の目標とした。褐色脂肪細胞化のモデルとして利用されるC3H10T1/2細胞とマウス白色脂肪組織由来の初代培養細胞を用いて、これらの培養・分化の過程で種々の食品由来因子を投与し、の熱産生によるエネルギー消費促進を担う主役であるタンパク質UCP1や褐色脂肪細胞マーカー遺伝子の発現量を褐色脂肪細胞化の指標として比較した。その結果、化合物Aに著しい褐色脂肪細胞化を確認した。さらに化合物Aと化合物Bの組み合わせは褐色脂肪細胞化を更に強く誘導することを明らかにした。現在、この結果をもとに分子メカニズムの解明を進めている。
2: おおむね順調に進展している
26年度の目的である褐色脂肪細胞誘導作用を持つ食品因子を明らかにしているので、順調な進展と判断できる。
順調に進展しているので、次年度に向けての課題解決に全力をあげる。
平成26年度の研究を効率よく進めることができ、さらに消耗品の購入の際の値引きにより研究費用の支出が予定より若干少額となった。この消耗品購入の際の値引きにより生じた残額は、平成27年度研究計画の予算と合わせて前半に予定することとした。
26年度と同様に物品費に加えて調査研究旅費として使用する。物品費:試薬類、実験動物購入等として 1,151,083円(26年度残額の1083円を含む)、旅費:50,000円
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