研究課題
本研究の最終目的は、新たな抗肥満戦略として白色脂肪組織中に「誘導型」の褐色脂肪細胞を増やす食品由来因子を明らかにすることである。哺乳動物の脂肪組織において「褐色脂肪組織」は脂肪を消費して体熱産生を行い、体温維持を担う。従って「褐色脂肪組織」の増大は、エネルギー消費を促進する。最近、褐色脂肪組織は、成人にもあり加齢により低下し、肥満と相関すること、従来からある「既存型」とは細胞起源の異なる脂肪前駆細胞から分化転換する「誘導型」が白色脂肪組織中に多数出現し、熱産生によりエネルギー消費が継続的に増加して体脂肪が減少することも明らかになっている。このような背景を踏まえて26年度の研究では、褐色脂肪細胞化のモデルとして利用される2種類の細胞を用いて、種々の食品由来因子の検討を行った結果、化合物Aに著しい褐色脂肪細胞化を見出した。さらに27年度は、この化合物の褐色脂肪細胞化誘導のメカニズムを明らかにした。以上を踏まえて28年度は動物個体での化合物Aの褐色脂肪細胞化誘導の立証を試みた。そこでマウスへ化合物Aを経口投与し組織を採取した。その結果、投与群において皮下白色脂肪組織において褐色脂肪細胞化の特徴的な所見が組織染色像から認められた。さらに熱産生に関わる脱共役タンパク質であるUCP1の発現は投与群で有意に上昇した。一方精巣上体褐色脂肪組織や肩甲骨間の褐色脂肪組織にいては、投与群と非投与群との間に有意な差は認められなかった。以上の結果から28年度の目標である動物個体での作用立証を達成することができた。
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