研究課題
フルクトースは「果糖ブドウ糖溶糖」として多くの飲料の甘味料として利用され、先進国ではメタボリックシンドロームの原因として注目されている。妊婦のフルクトース過剰摂取による子への悪影響が示唆されているが、そのメカニズムは不明である。本研究はエピジェネティックな視点より、妊娠中のフルクトースの過剰摂取が仔に与える悪影響のメカニズムを解明する。今年度はフルクトース摂取した母獣から産まれた仔の表現型を主に解析した。フルクトースを摂取した母獣から生まれた仔は120日齢で耐糖能異常が観察された。それ以前(30ー90日齡)では耐糖能異常はみられなかった。また仔の体重増加についても調べたところ、フルクトース摂取した母獣から産まれた仔は、通常飼料を摂取した母獣から産まれた仔よりも70日齡以降で体重増加が遅くなることがわかった。仔を解剖し (30、60、90、120日齢)、肝臓、脂肪など様々な臓器を回収した。肝臓(仔、120日齢)を用いてマイクロアレイなどの解析をすすめている。今後は胎児の段階で過剰なフルクトースによりエピジェネティックス情報の変化が起こりその結果、疾患の素因が形成され、成人になると発症するという仮説を念頭に置き、仔のメチル化の解析を経時的に行っていく。フルクトース摂取が仔に与える影響を解析し、メタボリックシンドローム発症の分子メカニズムをエピジェネティックな視点から探ることを目標に据える。
2: おおむね順調に進展している
研究計画書通り進行している。
今後も研究計画書通りに行っていく予定である。成獣ラットにフルクトースを過剰に摂取させ肝臓を解析したところ、脂肪酸の異化代謝に関わる遺伝子の発現に変化が認められた。今後はプロモーター領域などのメチル化解析を進める。表現型解析のデータと比較することで、エピジェネティックな変化と表現型の関連を調べる。
必要な試薬類 (total RNA抽出試薬、PCR用試薬など)や抗体を発注していないため。
今後必要となるので随時購入する予定である。
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Nutrition research
巻: 35 ページ: 259-264
10.1016/j.nutres.2014.11.001