研究課題
フルクトースは「果糖ブドウ糖液糖」の名で添加甘味料として多くの清涼飲料や加工食品に使用されている。過剰摂取は脂肪肝を引き起こしメタボリックシンドロームの原因の1つとして注目されているが、妊婦のフルクース過剰摂取が仔に与える影響についてはメカニズムを含めるとまだ不明な点が多い。本研究では、エピジェネティックな視点から妊娠中および授乳中の母胎のフルクトース過剰摂取が仔に与える悪影響のメカニズムを解明する。昨年度に妊娠中と授乳中にフルクトースを過剰摂取させた母胎から生まれた仔の体重減少と120日齢において耐糖能低下が起こること、更に海馬のStAR、PBR、P450(11β)、11β-HSD、17β-HSDのm-RNAレベルで変動することを確認した。当該年度ではフルクトースの影響が妊娠期と授乳期のどちらの影響によるのかを調べるために神経ステロイド代謝を担う酵素や蛋白群のm-RNAレベルで発現量を調べた、その結果StAR、P450、11β-HSD、17β-HSDは妊娠期あるいは授乳期のみでは影響しない事、PBRは授乳期のみで発現が下がることが確認された。更に現在まだ解析中であるが、妊娠期から授乳期にかけてフルクトース負荷した母胎の21日齢の仔において海馬神経新生が減少する事が確認され、同時に海馬組織中のLPOが増加していたことから、酸化ストレスが関わることが推測されたことから、海馬ミトコンドリアに局在する脱共役蛋白(UCP5)のm-RNA量を調べたところ有意に低下していることが分かり、現在神経新生に関わる部位およびUCP5のプロモータ部のメチル化解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画ではフルクトース過剰摂取による影響を分析するにあたり、明確に対象臓器を特定していなかったが、脂肪肝を呈することから肝臓を主な対象臓器として念頭に進める計画であった。しかし研究の進行過程において脳の海馬領域において神経ステロイド代謝に関わる酵素・蛋白群に影響を及ぼすことが明らかになってきたために現在のところ脳を対象臓器として研究を推進している。
研究の推進に当たっては主な対象臓器を脳としてそれ以外は研究計画書通りに行っていく予定である。今後は海馬の神経新生に及ぼす影響を関連する物質のプロモータ領域などのメチル化解析を進める。表現型解析のデータと比較することでエピジェネティックな変化と表現型の関連を調べる。
必要な試薬(RNA抽出試薬、PCR用試薬)を発注していないため。
今後必要となるため随時購入予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)
Endocrine Research
巻: in press ページ: in press
in press