赤ワインの色は、消費者の購買意欲に直結する重要な指標である。色素として重要なアントシアニンは赤ワイン製造中に、果皮からワインに抽出されるが、製造中に濃度が減少する。この原因はいくつか考えられ、例えば水和による分解、亜硫酸による脱色、果皮への吸着などがある。本研究では果皮への吸着について、その条件などを検討した。果皮へのアントシアニンの吸着は、アルコール濃度により阻害された。pHの影響を調べたところ、pH3.2付近で最も吸着率が高くなった。一方、アントシアニンの安定性に寄与するタンニンはpH3.2で極小となり、果汁のpHが果皮のアントシアニン吸着に大きな影響を与えることが示された。
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