研究課題/領域番号 |
26450178
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
川村 理 香川大学, 農学部, 教授 (30204770)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オクラトキシンA / マイコトキシン / 小麦 / 讃岐うどん / イムノアフィニテーカラム / モノクローナル抗体 |
研究実績の概要 |
オクラトキシンA(OTA)は、腎障害や尿路系発がん性などを有するマイコトキシンであり、主に小麦類などを汚染している。日本でのOTAの摂取源の約70%は小麦由来と推定されているが、麺類の製造・調理中のOTA挙動は不明確であり、これを明確にすることを目的に本研究を行った。 平成26年度は、まず、イムノアフィニテーカラム(IAC)作製に必要な抗体は、至適条件を検討後、CO2ガスシェーカーで6L大量培養後、プロテインGカラムで精製し、ゲルと結合させ作製した。 OTA生産菌を培養した汚染小麦を市販小麦で希釈混合し、OTA(10.8 ppb)汚染のうどん用中力小麦粉を調整した。並切麺(3×4 cm) と細麺(直径2 cm)の太さの違ううどんを代表的に讃岐うどんの製法に準じて製造し、茹で時間毎のうどんと茹で汁のOTA濃度をIAC-HPLC法で測定した。 その結果、並切麺の場合、うどんと茹で汁中のOTAの割合は、それぞれ、茹で時間3分で89.3 %と12.8 %、6分で80.3 %と18.5 %、9分で77.7 %と22.4 %、12分で77.1 %と27.1 %であった。細麺の場合は、うどんと茹で汁中のOTAの割合は、それぞれ、茹で時間3分で78.9 %と16.1 %、6分で71.4 %と22.8 %、9分で71.4 %と25.5 %、12分で62.4 %と36.4 %であった。麺が細い方が、茹で汁への溶出は速やかであったが、並切麺と細麺ともに最適ゆで時間(並切麺 9分、細麺 3分)では、共に約20 %のOTAが麺から茹で汁中へ溶出した。また、うどんとゆで汁中のOTAの総量はほぼ一定であり、茹で中のOTAは分解しなかった。 また、市販のうどんやそうめん43検体分析し、10検体(23 %)から微量のOTA(平均0.052 ng/g、0.018~0.089 ng/g)を検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画(1)人工汚染小麦粉の調整につい;OTA生産菌を培養した汚染小麦を市販小麦で希釈混合し、OTA(10.8 ppb)汚染のうどん用中力小麦粉を調整した。また、CO2/マルチガスインキュベーションシェーカーを用いた抗OTAモノクローナル抗体生産ハイブリドーマの大量培養至適条件を設定し、大量培養を6L行い、IAC作製のための抗体作製とプロテインGカラムで精製し、ゲルと結合させ作製し、実験に必要な充分量のIACを作製した。 平成26年度の計画(2)うどん・そうめん製麺・調理でのOTAの減衰について;代表的に讃岐うどんの製法に準じて並切麺(3×4 cm) とそうめんを念頭に細麺(直径2 cm)の太さの違う2種類の麺を製造し、茹で時間毎のうどんと茹で汁のOTA濃度をIAC-HPLC法で測定し、うどんと茹で汁中のOTAの挙動を明らかにした。そうめんの製造は行わなかった。 また、平成28年度計画を先取りして、市販のうどんやそうめん43検体分析し、10検体(23 %)から微量のOTA(平均0.052 ng/g、0.018~0.089 ng/g)を明らかにした。 以上から、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、申請書の平成27年度計画に従い、(3)ラーメン製麺・調理でのOTAの減衰と(4)そば製麺・調理でのOTAの減衰を行う。ただし、予備実験として実験室レベルで即席麺の製造を行ったが、市販の即席麺と同様なラーメンの作製はやや難しかった。市販の即席麺とは、やや異なる製法になる可能性がある。しかし、製造工程を工夫し、麺の油揚げ工程でのOTAの減衰の有無を明らかにし、ラーメン製麺・調理でのOTAの減衰を明確にする予定であるが、即席麺の製造は平成28年度にずれ込む可能性がある。しかし、その場合は、平成28年度計画である国内市販ラーメンとそば麺の収集・分析を先取りして行いことができるので、3年の期間内に当初計画全てを実施できると考えている
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