オクラトキシンA (OTA)は、腎障害や尿路発がん性などを有するマイコトキシンであり、日本での主なOTAの摂取源と小麦類と考えられている。小麦類の約53%は麺類に加工されているが、麺類の製造・調理中のOTAの挙動は不明確であり、これを明らかにすること目的とした。 平成26年度は、人工汚染小麦で、標準的讃岐うどん麺(3×4 cm)を製麺し、調理中のOTAの挙動を調べた。最適ゆで時間9分でうどんとゆで汁中のOTAの割合は、77.7%と22.4%であった。市販讃岐うどん等43検体を分析した結果、10検体(23%)からOTA(平均0.052 ppb)を検出した。 平成27年度は、標準的なラーメン(1.6 cm角麺)を製麺した。アルカリ性のかん水の影響は無くラーメン製麺過程でのOTA減少は認められなかった。最適ゆで時間である2分ゆでた場合の麺とそのゆで汁中のOTAの割合は、68.8%と26.6%であった。市販ラーメンの汚染調査では、生麺26検体中19検体(73%)からOTA (平均0.122 ppb)を検出した。 平成28年度は、市販インスタントラーメンの汚染調査を行った。国内27検体中19検体(70%)からOTA(平均0.106 ppb)、タイ市販28検体中16検体(57%)からOTA(平均0.096 ppb)と中国29検体中7検体(24%)からOTA(平均0.036 ppb)を検出した。最高濃度は国内品で0.469 ppbで、EUの規制値(3 ppb)の1/6以下であった。7割そばを製麺し、最適ゆで時間2分ゆでた場合の麺とゆで汁中のOTAの割合は、86.1%と22.2%であった。 以上の結果から、国内市販ラーメンが微量ながら比較的に高頻度に汚染されていること、麺類は何れも最適ゆで時間で約22~26%のOTAがゆで汁に溶出することを明らかにした。
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