スギやヒノキの人工林由来の花粉によるサワラへの繁殖干渉を解明するため、スギ、ヒノキ、サワラの3種間の生殖隔離と空中花粉の種組成を調査した。 珠孔液の引き込みと受粉後の花粉管の挙動を観察した結果、3種間には受粉時の生殖隔離なく、受粉後に生殖隔離が機能することが明らかになった。 空中花粉の種組成を調査するため、葉緑体DNAによる種識別マーカーと花粉1粒を用いた種判別法を開発した。サワラ個体周辺から採集した空中花粉から顕微鏡でヒノキ科花粉を単離し、開発したマーカーを用いて種判別を行った結果、90%がヒノキの花粉であった。以上の結果、大量に混入する近縁種花粉によるサワラへの繁殖干渉の可能性が示された。
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