研究課題
基盤研究(C)
ニホンジカによる樹幹剥皮によって森林の衰退が顕著である大台ヶ原の防鹿フェンス内において,トウヒ生残木の水分生理に影響を及ぼす要因を明らかにするため,トウヒの樹液流速の測定を行った。気象要因のうち樹液流速に影響を及ぼしていたのは,全天日射量と大気飽差であり,トウヒの樹液流速の日変化パターンは全天日射量と大気飽差に類似していた。トウヒの生態的特性のうち樹液流速に正の影響を及ぼしていたのは,樹高,幹の剥皮率,辺材面積であった。トウヒ生残木は,剥皮の割合の高さを樹液流速で補償している可能性がある。
森林生態学