本研究課題は土壌塩類集積により劣化した乾燥地生態系の保全・修復技術を確立するため、葉と水の安定同位体比に基づいた耐塩性指標を構築することを目的とした。中国半乾燥地原産の匍匐性常緑針葉樹を用いた18O標識実験により、乾燥地植物による塩分高濃度の土壌浅層水の回避や塩分低濃度の露の利用を明らかにした。また、紅海沿岸のマングローブの樹形と葉の炭素・酸素安定同位体比の関係から、高塩分環境では不定根を伸ばし、葉の水利用効率を向上させて葉までの吸水を緩和していることがわかった。乾燥地植物の塩ストレスへの対応である塩回避と耐塩性について安定同位体を用いた評価手法を確立することに成功した。
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