樹木の活力診断は,樹木の健全な育成や安全管理に欠かせない。遅延蛍光は,光合成の逆反応によって微弱な発光が生じる現象であり,遅延蛍光の計測によって植物のストレスを高感度に評価することができると言われている。そこで,本研究は,微弱発光計測技術を応用し,遅延蛍光に基づいて樹木の活力度を現場で評価するための手法を開発することを目的とした。オンサイト型微弱発光計測装置を試作して,野外植栽のサクラ類を対象に遅延蛍光の計測を行い,活力度評価の可能性を検討した。その結果,サクラ類の生育状態(良好・不良の傾向)を8割程度の正答率で予測可能であるとの示唆が得られた。
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