研究課題/領域番号 |
26450196
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
廣部 宗 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (20363575)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 土壌の窒素代謝 / 森林土壌 |
研究実績の概要 |
森林土壌の窒素代謝特性や有機物の堆積様式は、気候、植生、母材および地形等により異なるが、我が国の森林の大部分は急峻な傾斜地に存在し、比較的小さな空間規模において地形による違いが顕著に見られることが大きな特徴である。本年度は第一段階として気候、植生および母材が共通である針葉樹人工林を対象とし、林内の同一斜面上において地形による違いを明らかにすることを試みた。 岡山県内のヒノキ人工林内において、同一斜面上の下部から上部までの25地点で鉱質土壌表層(0-10cm)を採取した。採取した土壌を実験室培養し、培養期間中の無機態窒素変化量からみかけの窒素代謝特性を測定するとともに、重窒素(15N)で標識した窒素化合物トレーサーを使用し、同位体希釈法により実際の窒素代謝特性を測定した。これらにより、先行研究と同様に見かけの窒素代謝においても実際の窒素代謝においても活発な硝化活性は斜面の下部でのみ見られることが確認された。一方、鉱物-有機物複合体と粒子状有機物として存在する有機物を分画・定量する予備実験を行ったところ、参照した文献法では分散過程に問題があることがわかった。そのため、現在分散過程に問題が無い実験条件を検討中であり、重窒素添加前後の鉱物-有機物複合体と粒子状有機物として存在する有機物を分画・定量は未完了である。その他の一般化学性についても分析を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画の通り概ね順調に進展しているが、重窒素トレーサーによる実際の窒素代謝特性について、分析・測定に多くの時間を必要とした。加えて、鉱物-有機物複合体と粒子状有機物として存在する有機物を分画・定量において、予備実験により参照した文献法では分散過程に問題があることがわかり、現在分散過程に問題が無い実験条件を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
分析方法の問題点をできるだけ速やかに改善し、昨年度採取したヒノキ人工林土壌について未完了の分析を完了させる。また、今年度はヒノキ人工林の結果を取りまとめるとともに、他の植生タイプの森林を対象にヒノキ人工林と同様の土壌採取、分析・測定を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
有機物分画・定量実験および分画後の炭素・窒素濃度、窒素同位体比測定が初年度内に未完了であり、これらに使用予定であった予算が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
分析方法の問題点をできるだけ速やかに改善し、未完了の有機物分画・定量実験および分画後の炭素・窒素濃度、窒素同位体比測定を実施するとともに、本年の研究計画を遂行する。
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